鹿児島県における平成25年産原料用さつまいもの生産状況などについて
最終更新日:2014年5月9日
鹿児島県における平成25年産原料用さつまいもの生産状況などについて
2014年5月
【要約】
鹿児島県における平成25年産さつまいもの生産量は37万4000トンと、前年を17パーセント上回った。このうち、でん粉原料用さつまいもの生産量は14万600トンと、前年を10パーセント上回った。
はじめに
鹿児島県におけるさつまいもは、普通畑の約2割に作付けされており、台風などの気象災害に強い夏場の土地利用型作物として、輪作体系や防災営農上、重要な作物である。
平成24年産さつまいもの農業産出額は約159億円で、耕種部門では第3位(構成比10%)であり(図1)、その用途はでん粉用、焼酎用、加工食品用、青果用と多岐にわたる。
鹿児島県のさつまいも作付面積は、ピーク時の昭和38年には7万1500ヘクタール(生産量168万トン)であったが、コーンスターチ用トウモロコシなどの輸入増加に伴うさつまいもでん粉の需要低迷、農家の高齢化、機械化の遅れなどにより減少し、平成15年には1万1800ヘクタールまで減少した。
平成16年ごろからの全国的な焼酎ブームにより、焼酎原料用の需要が急増し、平成19年以降は、 1万4000ヘクタール前後で推移している。
本稿では、平成25年産原料用さつまいもの生産状況やでん粉工場の操業状況について報告する。
1.平成25年産さつまいもの生産状況
(1)作付面積
平成25年産さつまいもの作付面積は、前年産より100ヘクタール減少し、1万3700ヘクタール(前年対比99%)となっている(図2)。
このうち、でん粉原料用は5,020ヘクタール(前年対比97%)で、全体の37パーセントを占める。
(2)生産量
平成25年産さつまいもは、4月植え付けほ場では、日照量が多く雨量も適度にあったことから、活着が良く生育は良好であったものの、5月植え付けほ場では、低温と少雨により活着不良が見られ、さらに梅雨明け以降が少雨傾向で経過したことから、地上部の生育は平年より緩慢であった。
その後、肥大期に晴天が続き、前年産より日照量が多かったことから、おおむね生育は良く、10アール当たりの収量は、平年並の2,730キログラム (平年比102%)となり、8年ぶりに平年を上回った(図3)。
このようなことから、平成25年産さつまいもの生産量は37万4000トンとなり、前年を17パーセント上回った。この生産量は、全国生産量 94万2300トンの40パーセントを占め、全国1位である。
(3)用途別仕向け量
さつまいもの用途は、でん粉原料用と焼酎原料用が全体の8割以上を占めている。平成25年産では、でん粉原料用が全体の38パーセントの14万600トンで、焼酎用が全体の48パーセントの17万9399トンの見込みである。
(注)焼酎用は各社の実績により、今後変動する可能性がある。
(4)でん粉原料用さつまいもの生産状況
平成25年産でん粉原料用の作付面積は、5,020ヘクタールであり、前年よりやや減少した(前年対比97%)。
10アール当たりの収量は平年並の2,800キログラムで、生産量は前年より約1万2700トン増の 14万600トン(前年対比110%)となった。
2.でん粉工場の操業状況
鹿児島県内のさつまいもでん粉工場は、南薩、大隅、種子島地域など主産地を中心に、農協系3工場、民間系15工場、合計18工場が操業した。
県内のでん粉工場では施設や機器の整備により、食品向けの高品質なでん粉の製造が可能となっている。
しかしながら、平成25年産のでん粉工場の操業(処理)能力に対する原料の集荷割合(操業率)は約6割であり(図5)、今後とも操業能力に見合った原料の確保が必要である。
おわりに
鹿児島県さつまいも・でん粉対策協議会では、平成22〜24年産の天候不良などによる不作からの生産回復に向けて、健苗育成など基本技術の励行や病害対策の実践などを推進するチラシを配布するとともに、各地域の単収向上に向けた取り組みを支援している。
また、でん粉工場、焼酎工場における原料需要量の動向把握に努め、県・地域段階における需給・生産情報の共有化を図るとともに、関係機関・団体と一体となって、実需者(でん粉工場、焼酎工場)と生産者の実効性のある事前契約の実践による原料の安定確保を基本に、需要に応じた生産を推進していくこととしている。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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