鹿児島県における平成26年産原料用さつまいもの生産状況などについて
最終更新日:2015年5月11日
鹿児島県における平成26年産原料用さつまいもの生産状況などについて
2015年5月
【要約】
鹿児島県における平成26年産さつまいもの生産量は33万6300トン(対前年比90%)。このうち、でん粉原料用さつまいもの生産量は12万6500トンで、前年より約1割減少した。
はじめに
鹿児島県におけるさつまいもは、でん粉・焼酎の原料用や、青果用、加工用向けに普通畑の約2割に作付けされている。
平成25年産さつまいもの農業産出額は約184億円で、耕種部門では米に続く第2位(構成比12%)であり(表1)、台風などの気象災害に強い夏場の土地利用型作物として、輪作体系や防災営農上、重要な作物である。
本稿では、平成26年産原料用さつまいもの生産状況やでん粉工場の操業状況について報告する。
1. 平成26年産さつまいもの生産状況
(1)作付面積
平成26年産さつまいもの作付面積は、1万3400ヘクタール(対前年比98%)で(図1)、全国1位である(全国作付面積3万8000ヘクタールの約4割)。
このうち、でん粉原料用は4790ヘクタール(同95%)で、県全体の36%を占める。
(2)生産量
平成26年産さつまいもは、4月〜7月の気温が平年より低く推移したことなどから、植え付け用の苗立ちが悪く、植え付け作業が遅れたことや、初期のいも肥大が緩慢で、小芋が多かったことから、10アール当たりの収量は2510キログラム(対平年比95%)となり(図2)、生産量は33万6300トンと前年を約1割下回った。
このうち、でん粉原料用については、10アール当たりの収量は2640キログラム(同97%)、生産量は12万6500トン(対前年比90%)となった。
(3)用途別仕向け量
鹿児島県におけるさつまいもの用途は、でん粉原料用と焼酎原料用が全体の8割以上を占めており、平成26年産では、でん粉原料用が全体の38%の12万6500トン、焼酎用が全体の52%の17万5614トン(注)の生産見込みである(表2)。
(注)焼酎用は各社の実績により、今後変動する可能性がある。
2. でん粉工場の操業状況
鹿児島県内のさつまいもでん粉工場は、主産地の南薩、大隅、種子島地域を中心に、農協系3工場、民間系15工場、合計18工場が操業している。
これらのでん粉工場では施設や機器の整備が進められ、食品向けの高品質なでん粉の製造が可能となっている。
しかしながら、平成26年産のでん粉工場の操業(処理)能力に対する原料の集荷率は約5割程度に低下しており、今後とも操業能力に見合った原料の確保を推進する必要がある(図3)。
おわりに
鹿児島県さつまいも・でん粉対策協議会では、天候不良などにより平成22年産から続く不作からの生産回復に向けて、健苗育成やマルチ栽培など基本技術の励行、病害虫対策の実践などを推進するチラシを配布するとともに、各地域の単収向上に向けた取り組みを支援している。
また、でん粉工場や焼酎工場における原料需要量の把握に努め、27年産に向けて、「原料用さつまいもの需要見込(平成27年2月)」を関係機関に通知し、県・地域段階における需給・生産情報の共有化を図っている。
今後も、関係機関・団体と一体となり、生産回復に向けた取り組みと、需要に応じた生産を推進していくこととしている。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査報告 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713