これまで国が定めた基準や規定に基づく健康食品は、栄養機能食品(マークなし)と、特定保健用食品(マークあり)の2種のみであったが、届出制による機能性表示食品制度(以下「新制度」という)が第3の公的制度として施行された。食品は、栄養機能(第1次機能)やおいしさ等の感覚機能(第2次機能)を有するが、今回対象とする機能とは、生体の生理機能を調整する働き(体調調節機能)のことを言い、第3次機能とも呼ばれている。
現在、国の基準や認定に基づかない機能性食品や各種の補助食品・サプリメントもかなりの市場を占めているが、これらは認定等を受けたものと区別して、「いわゆる健康食品」と呼ばれており、新制度は、こうした分野の中から、安全性、機能性等に関して根拠あるデータに基づき、企業責任の下での国への届出により機能表示を可能としたものである(
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高齢化の進展や健康志向の増大等により、当該健康食品市場は1.5兆円以上、潜在需要はその倍の3兆円以上が期待できると言われている。
新制度は、一昨年6月に閣議決定された規制改革基本計画に基づくもので、その具体的な方策については、民間が有しているノウハウを活用する観点から、その食品の機能性について、国ではなく企業等が自らその科学的根拠を評価した上で、その旨および機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメント(DS)の表示制度を参考にしたものであるが、わが国では機能性の科学的根拠等について、より厳しい要件を課している。
また、新制度では、生鮮食品(農林水産物)も対象となっている点が特徴の一つである。