カップ検診法は、センチュウ抵抗性品種を育成するため、センチュウ抵抗性を簡便に評価するための検定方法として北農研により開発された。北農研は、これを土壌検診への応用、普及を図ることを目的として、平成17年度から北見農試と共同研究を進め、19年度に誰でも簡単にセンチュウの有無と精度の高い密度推定が可能な現在の方法を確立した。
北農研が19年度に公表した北海道農業研究成果情報によると、カップ検診法と従来の土壌検診法の判定結果は、86.0%という高い一致率を示している(
表1)。土壌検診法のみが検出したサンプルは、死亡している卵も「検出」と判定されてしまう可能性があることから、カップ検診法は、土壌検診法の検診精度と比べて遜色ないか、それよりも優れていると言える。
カップ検診法の実施手順は、まず始めに、収穫後の11〜12月ごろに検診対象のほ場から採取した土壌と、男爵やメークインなどのセンチュウの感受性が高い品種の小いもを入れた透明カップを4つ用意し、室温14〜22度の暗所にて5週間以上培養する(
図1)。ただし、土壌が過湿または過乾燥状態では根が伸長しないため、培養中、適度に給水する必要がある。
植え付けから5週目を経過すると、地上部の茎はほとんど伸長せず、カップの側面および底面越しから根が伸長している様子を観察することができ、採取した土壌中にシストの状態の生きたセンチュウがあれば、伸長した根に白色または黄色のメス成虫が付着している様子も観察することができる。
判定方法は、植え付けから8週目を目安に、根に付着したセンチュウを肉眼で確認し、4つのカップのうち最も付着しているカップのセンチュウの個体数を数え、その数によって密度の程度を分類する。個体数が0の場合は非検出、20以下は低密度、21以上100以下は中密度、101以上は高密度と分類される。
結果が判明するまで2カ月程度の期間を要するものの、事前準備から判定まで1サンプル当たりに要する実作業時間は数分程度であるため、従来の検診法と比べて簡便な方法であると言える。