人工甘味料のうち、特に需要量の多いアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースについて報告する。
(1)アスパルテーム
アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンの2種類のアミノ酸を縮合させて製造されるアミノ酸系甘味料で、1965年に米国で開発された。カロリーは砂糖と同じ1グラム当たり4キロカロリーであるが、甘味度は砂糖の200倍であるため、カロリーを低減することが可能である。特性として、 1)苦みが少なく砂糖に似た甘みを持ち、後味がすっきりしている、 2)コーヒーや医薬品などの苦みを隠す効果や、フルーツフレーバーの風味増強効果がある、 3)タンパク質の成分であるアミノ酸から出来ているため歯垢形成を起こさず、虫歯の原因になりにくい(非う蝕性)、 4)砂糖と比較し、吸湿、軟化しにくい、などが挙げられる。
食品添加物の安全性評価を行う国際機関である、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(FAO/WHO Joint Expert Committee on Food Additives、以下「JECFA」という)において、1日当たりの摂取許容量(以下「ADI」という)は体重1キログラム当たり0〜40ミリグラムと設定されている。わが国では、1983年に食品添加物として指定を受けているが、使用基準は設定されていない。
ア.わが国における需要動向
食品化学新聞社「食品添加物総覧2011−2014」によると、わが国におけるアスパルテームの年間の需要量は約480トンで、分野別の内訳は飲料50%、ガム・タブレットなど35%、チルド商品・その他15%となっている。わが国では、大手食品メーカーが製造する国産品と輸入品が流通しており、財務省「貿易統計」によると、平成27年の輸入量は155トン(前年比10.2%減)であった(
図1)。輸入先国はフランス、ウルグアイ、中国、韓国、米国の5カ国で、フランス、ウルグアイ、中国が全体の約9割を占めている。近年では安価な中国製の輸入量が増加傾向にある。