インドネシアでは、人口増加や経済発展に伴う食品・飲料分野の需要増により砂糖消費量が増加を続ける一方、生産が追い付かず、輸入量は増加傾向で推移している。
2000/01インドネシア砂糖年度(4月〜翌3月)から2003/04年度の間、砂糖生産量は200万トン前後で停滞したが、この原因として、さとうきび価格の下落により栽培管理がおろそかになったこと、さとうきび生産への投資意欲の減退により新植のペースが低下したこと、また、国内価格の低迷により収益性の高いほかの作物への転換が進んだことが挙げられる。
生産回復のため、政府は高収量品種導入の推進、さとうきび生産農家を対象とした低利融資制度の創設、高水準な砂糖最低価格の設定を行った。これらの対応により、2004/05年度に砂糖生産量は220万トンにまで回復し、その後も増加を続けた。しかしながら、消費量は生産量を上回るペースで増加し、2001/02年度以降でみると、2009/10年度までに消費量が46.2%増加したのに対し、生産量は31.6%増にとどまった。
2009/10年度のさとうきび収穫面積は44万ヘクタール(前年度比2.3%増)とわずかに増加し、さとうきび生産量も3480万トン(同7.1%増)に増加したが、砂糖生産量は250万トン(同10.7%減)と6年ぶりの減産となった。これは、多雨による洪水発生や日照不足によりさとうきびの糖度が低下し、さとうきび1トン当たりの産糖量が71.8キログラムと、前年度の同86.1キログラムから大幅に減少したことが原因である。
減産を受け、同年度の輸入量は280万トン(同3.7%増)に増加した。政府は、国内供給不足と国際砂糖価格高騰の影響による国内価格上昇への対応として、2009年10月から2010年4月までの期間、粗糖の輸入関税を1キログラム当たり550インドネシア・ルピア(6.16円:100インドネシア・ルピア=1.12円)から150インドネシア・ルピア(1.68円)、白糖の輸入関税を同790インドネシア・ルピア(8.85円)から400インドネシア・ルピア(4.48円)に一時的に引き下げ、国外からの砂糖流入に対する規制を緩和した。