ISSCTの発表は各分野(10分野)に分かれて行われた。我々琉球大学からは下記に示す題目で、「Agronomy」と「Entomology」の2分野から発表を行った。
1.Influence of bio-ethanol distillation residue on water quality of an underground dam. (Agronomy)
2.Effects of fipronil bait on sugarcane yield in Okinawa, Japan.(Entomology)
1課題目はバイオエタノールの蒸留残さ液が宮古島の地下ダムの水質に与える影響について行った実験であり、2課題目は2006年より日本のさとうきび栽培地域で使用されるようになったFipronilベイト剤の効果について調査した内容である。両発表とも各分野の専門家から多くの貴重な意見や質問を受けた。
この会議を通して、「Sustainability: 持続可能性」というキーワードが、今回のメキシコ大会の発表や講演をつないでいたような印象を受けた。最終日の世界自然保護基金(WWF)のClay氏の講演では、増え続ける人口と相対して限られた資源から生産を行い、消費していく社会に対して「Use less to supply more」という課題を明示した。
さらに、「What to think(何を考えるのか)ではなくHow to think(どのように考えるか)」が重要だと続け、そのヒントとしてスターバックスのカフェ・ラテがつくられるまでの水の量という「ものさし」を例にして、生産過程で水がどれだけ使われるのかが視覚的にわかりやすく講演された(図10)。
Clay氏が掲げた「It is impossible to awake the one who pretends to sleep(眠っているふりをしている人の目を覚ますのは不可能である)」というメッセージは、さとうきび由来のバイオエタノールなどを含むバイオマス産業に対して、「持続可能性」というアプローチの必要性を厳しく訴えているともとれるように思える。「持続可能性」という考え方の重要性を否定する人はいないと思うが、では、このような新たな価値となり得る「持続可能性」に対して、どのように評価するのか、言いかえれば、どれくらい持続可能なのか?を示す「ものさし」は何なのか?このような疑問に対するヒントが、フランスのレ・ユニオン島から参加されていた研究者のCorcodel氏の発表から得られた。