異性化糖から砂糖への回帰を求める米国消費者意識は、近年着々と食品製造業者の販売戦略に組み込まれ、Hunts(ケチャップ)、Snapple(飲料)、OceanSpray(飲料)、Orowheat(パン)、Del Monte(果実調整品)などの全国ブランドが続々と、一部の商品の甘味原料を異性化糖から砂糖に切り替えている。
全国コーヒーショップチェーンのスターバックスもこうした消費者意識を素早く捕らえた企業の一つで、昨年6月に、全国のチェーンで販売される菓子パン類の甘味原料をすべて、砂糖に切り替えた。異性化糖から砂糖への転換を求める顧客の要望への対応が切り替えの背景とされ、この決断に対する消費者の反応は「予想以上に好評」とのコメントが、本年6月4日付けの業界紙Capital Press紙に紹介されている。
砂糖回帰の波は、異性化糖の最主要業務用顧客である炭酸飲料業界にも押し寄せている。昨年はPepsiCo社が砂糖ベースのPepsi Cola ThrowbackとMountain Dew Throwbackのテスト販売を開始して話題を集めたが、本年はDr. Pepper Snapple GroupがDr. Pepperの発売開始125周年を記念し、つい先だって、砂糖ベースのDr. Pepperの特別限定販売を開始した。Coca Cola社もメキシコで製造された砂糖ベースのCoca Colaを米国市場でプレミア付きで販売しており、さらに昨年のテスト販売結果に満足したPepsiCo社は、同社の今ひとつの人気ブランドであるSierra Mistの砂糖ベース版を近々市場導入する計画、との噂も流れている。
近年米国市場で認められる異性化糖離れの動きが今後とも継続する明瞭な動向として位置づけられ、1970年代以降に経験された砂糖から異性化糖へという潮流が逆流し始めるのか。あるいは、単なる一過性の流行に終わるのか。審判が下るのは、今しばらく先となりそうだ。