一般的に補植は欠株の株間が40センチメートル以上空いた場合に行うが、農家によっては補植苗を密植で多く入れる場合もある。宜野座村惣慶区でも補植本数は10アール当たり970本と多かった(表1)。
補植後の生育については、惣慶と久志に比べて冨着では茎長、分げつ共に大きな差が見られた(図3、3−1)。茎長の差は品種の違い(健全株:農林17号、補植苗:農林20号)によると考えられるが、補植株には分げつがほとんどなく、株によっては生育旺盛な健全株の隣で枯死したものも見られた。分げつ数については、補植した時期が収穫後2カ月以上経ってからと遅いため、当初から周囲の株との生育差が見られた。そのため健全株の旺盛な生長に伴って日を遮られて補植株の生育が抑えられ、枯死したり分げつしなかったものと思われる。
また、各地とも分げつ数は次第に減っているが、茎長の生育には地域によって差が見られ、惣慶における補植苗の伸びが最も大きかった。これは、生育旺盛期に干ばつだった今期、惣慶と久志は畑にかん水施設が整備されており、特に惣慶区では頻繁にかん水していたことが要因と考えられる。
収量調査の結果、冨着では補植後の欠株も多く、生存する補植苗は茎径が細く分げつもないため健全株に劣り、補植による増収効果は見られなかった。惣慶では補植した苗のすべてが生存し、分げつ茎数は少ないがかん水によって健全株並みの生育を示して増収した。久志でも補植に用いた農林19号(NiTn19)はすべて生存し、茎径は細いが分げつの多い品種特性を示して健全株並みの収量を確保した(表1)。
以上のことから補植した一芽苗を健全株と同じように生育させ、増収効果を得るためには、収穫後の早めの補植とかん水管理が特に重要と考えられる。