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4. 世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2010年11月4日

4. 世界の需給に影響を与える諸国の動向

2010年11月

調査情報部

◆ブラジル◆

 
 

(1)2010年10月における生産見通し

 生産量の約9割を占める中南部地域において、4月から9月16日までのさとうきび生産量は4億1720万トン(前年同期比19.5%増)、砂糖生産量は2510万トン(粗糖換算、同31.4%増)、エタノール生産量は1880万キロリットル(同23.7%増)に達したとみられ、前年度を大幅に上回るペースで生産が行われている。
 
 2010/11ブラジル砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、811万ヘクタール(前年度比8.6%増)に増加するとみられる。中南部地域では乾燥した天候が続き、さとうきび収穫が順調に行われる一方で、このことが10月から12月にかけて収穫される晩熟性のさとうきびの生育に悪影響を及ぼし、単収が低下する懸念が強まっている。これを受け、LMCは全体のさとうきび生産量を9月に下方修正したものの、6億4300万トン(同7.3%増)と過去最高に達すると見込んでいる。
 
 なお、同地域では9月下旬から10月初旬にかけて降雨があり、これによる単収回復も期待されるが、現時点では影響は不透明である。一方、LMCは砂糖生産量について、乾燥した天候がさとうきびの糖度を高めるとみられることから9月に上方修正し、4260万トン(粗糖換算、同18.0%増)と過去最高に達すると予測する。なお、エタノール生産量は2870万キロリットル(同13.0%増)とみられる。
 
 
 
 
 

(2)貿易状況

 2010/11年度の砂糖輸出量は、生産量の増加に加え、世界的に砂糖の輸入需要が高まっていることから過去最高の3010万トン(粗糖換算、前年度比16.7%増)に達すると予測される。ただし、港湾の混雑による船積み作業の遅れで輸出ペースが鈍る可能性もあり、動向が注目される。
 
 月間砂糖輸出量は世界の砂糖需給ひっ迫を背景に2009年以降高水準で推移している。
 特に2010年6月以降は、
 (ア)前年度に大雨による生産停滞で一部の出荷が2010/11年度に持ち越されたこと
 (イ)2年続きの需給ひっ迫により、世界の砂糖在庫が低水準となっている上、北半球の生産は10月以降に開始されるため、ブラジル産砂糖の引き合いが高まったこと
 から、前年度を大幅に上回るペースで輸出が行われている。2010年9月の輸出量は、前月の過去最高記録をさらに上回る335万トンに達し、主要輸出先はイラン、アラブ首長国連邦など中東諸国、アルジェリアなどアフリカ諸国であった。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, October 2010”
ブラジルさとうきび産業協会(UNICA) “Media Center” 2010/10/4記事
ブラジル開発商工省貿易局(SECEX) “Brazilian Trade Balance-Monthly”
 
 
 
 
 

◆インド◆

 
 

(1)2010年10月における生産見通し

 2010/11インド砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は、前年度のさとうきび価格高騰による作付け増加を受け、前年度から大幅増加の495万ヘクタール(前年度比26.0%増)とみられる。モンスーン期当初の降水量が平年を下回り単収の低下が懸念されたものの、その後十分な降雨があったことを受け、LMCはさとうきび生産量を前月から1500万トン上方修正し、3億4730万トン(同27.5%増)と予測する。これを受け、砂糖生産量は前月の予測を60万トン上回る2720万トン(粗糖換算、同34.0%増)と予測され、前年度から大幅な増加が見込まれる。
 
 
 
 

(2)貿易状況

 2010/11年度の砂糖消費量は2550万トン(粗糖換算、前年度比2.0%増)とみられることから、3年ぶりに供給が需要を上回るとみられる。このため、輸入量は前年度から大幅減少の100万トン(粗糖換算、同77.3%減)と予測される。余剰砂糖は過去2年間に減少した在庫の積み増しに回すとみられ、現時点では、輸出量は不透明である。
 
 2010年3月における粗糖・白糖輸入量は、前年同月比約3倍の23万2000トンとなり、主要な輸入先はブラジル、タイであった。 
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, October 2010”
 
 
 
 

◆中 国◆

 
 

(1)2010年10月における生産見通し

 中国における砂糖生産の約9割は南部で生産されるさとうきびを原料とし、残りは北部のてん菜に由来する。2010/11中国砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰を受け、作付けが増えたことから156万ヘクタール(前年度比4.7%増)に増加するとみられる。さとうきび生産量については、生育期の干ばつやその後の豪雨による単収の低下が懸念され、また広西壮族自治区と海南省ではイナゴや白アリによる被害も報告されているが、前年度からかなりの程度増加し9350万トン(同8.7%増)と予測される。
 
 てん菜生産地では2010/11年度の収穫が開始された。同年度のてん菜収穫面積は、春の低温で作付けに遅れが生じたことを受け9月に下方修正されたものの、前年度と比べると大幅増加の21万ヘクタール(前年度比40.0%増)と予測され、てん菜生産量は740万トン(同48.0%増)に回復するとみられる。
 
 原料作物の増産により、中国全体の砂糖生産量は前年度から増加し、1300万トン(粗糖換算、前年度比10.2%増)と予測される。
 
 
 
 

(2)貿易状況

 政府は9月9日、2009/10年度の減産による国内需給のひっ迫を緩和するため、砂糖の国家備蓄24万トンを放出した。同年度における放出は8回目で、累計では171万トン(白糖換算)となった。
 
 2010/11年度の砂糖消費量は1580万トン(粗糖換算、前年度比3.9%増)と生産量を大幅に上回るとみられる。また、同年度の輸入量は、前年度の放出により国家備蓄が100万トン程度にまで減少したとみられることから、前年度から大幅増加の230万トン(粗糖換算、同35.3%増)と予測される。ただし、中国では異性化糖の生産が増加しているため、需要が異性化糖へシフトし、砂糖輸入量が予測を下回る可能性もある。
 
 2010年8月における粗糖・白糖輸入量は、2009/10年度の減産や年初に比べ国際砂糖価格が下落したことを受け、前年同月比約6.6倍の29万8000トンに増加した。輸入先の大半はブラジルであった。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, October 2010”
 
 
 
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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