札幌事務所
北海道斜里郡斜里町に位置するホクレン農業協同組合連合会中斜里製糖工場は、平成22年産の製糖を平成22年10月13日から開始した。同工場では、平成20年度から3カ年計画で進めてきた自家発電用ボイラーの更新工事が平成22年7月6日に終了し、試運転を経たのち、同日からの本格操業となった。
施設更新の主な目的としては、昭和33年製のボイラー施設の老朽化および世界的な原油価格の高騰によるコスト上昇に対し、重油の約6〜7割となる安価な石炭への転換による燃料コストの大幅な削減ならびに工場の経営基盤の強化を図ることが挙げられる。
新設備は、ボイラー設備、蒸気タービン発電設備、貯運炭設備、排ガス処理設備、灰処理設備などで構成されており、従来3台で稼働していたボイラーが1台に集約された。石炭は微粉砕機で0.08ミリ程度まで細かくしてボイラーに送って燃焼させ、ボイラー内では500℃の蒸気を発生させてタービンを回転させている。発電能力は一般家庭約3万世帯分の電力に相当する最大1万5500キロワット、蒸気発生量は1時間当たり最大145トンの規模を誇る。また、この他に煤を大気中に放出させないため新たに集塵装置を設置するなど、環境対策技術の導入も新設備の特徴である。
同会清水製糖工場では昭和62年(1987年)にボイラー燃料を重油から石炭に切り替えており、今回の中斜里製糖工場のボイラー施設の転換により道内8工場中6工場が石炭を使用することとなる。
また、操業期間中中斜里工場へインドネシア産の石炭を網走港から300トン、釧路港から36トン毎日搬入しているとのことであり、今後はより安価で安定供給が図られる石炭の調達を目指すべく調査を行っていきたいとしている。
さらに、家畜のえさ用に製造されるビートパルプ(てん菜から糖分を抽出した後の繊維分)を乾燥させる際に使われる燃料についても、発電過程で発生する蒸気を活用する「スチームドライヤー」について2年後を目処に導入を検討しているとのことであり、最新技術の導入により同工場全体で二酸化炭素の排出量削減と省エネ化への取り組みを行っていくこととしている。