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地域だより

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最終更新日:2010年11月5日

2010年11月

札幌事務所

 
 
 
 北海道斜里郡斜里町に位置するホクレン農業協同組合連合会中斜里製糖工場は、平成22年産の製糖を平成22年10月13日から開始した。同工場では、平成20年度から3カ年計画で進めてきた自家発電用ボイラーの更新工事が平成22年7月6日に終了し、試運転を経たのち、同日からの本格操業となった。
 
 施設更新の主な目的としては、昭和33年製のボイラー施設の老朽化および世界的な原油価格の高騰によるコスト上昇に対し、重油の約6〜7割となる安価な石炭への転換による燃料コストの大幅な削減ならびに工場の経営基盤の強化を図ることが挙げられる。
 
 新設備は、ボイラー設備、蒸気タービン発電設備、貯運炭設備、排ガス処理設備、灰処理設備などで構成されており、従来3台で稼働していたボイラーが1台に集約された。石炭は微粉砕機で0.08ミリ程度まで細かくしてボイラーに送って燃焼させ、ボイラー内では500℃の蒸気を発生させてタービンを回転させている。発電能力は一般家庭約3万世帯分の電力に相当する最大1万5500キロワット、蒸気発生量は1時間当たり最大145トンの規模を誇る。また、この他に煤を大気中に放出させないため新たに集塵装置を設置するなど、環境対策技術の導入も新設備の特徴である。
 
 同会清水製糖工場では昭和62年(1987年)にボイラー燃料を重油から石炭に切り替えており、今回の中斜里製糖工場のボイラー施設の転換により道内8工場中6工場が石炭を使用することとなる。
 
 また、操業期間中中斜里工場へインドネシア産の石炭を網走港から300トン、釧路港から36トン毎日搬入しているとのことであり、今後はより安価で安定供給が図られる石炭の調達を目指すべく調査を行っていきたいとしている。
 
さらに、家畜のえさ用に製造されるビートパルプ(てん菜から糖分を抽出した後の繊維分)を乾燥させる際に使われる燃料についても、発電過程で発生する蒸気を活用する「スチームドライヤー」について2年後を目処に導入を検討しているとのことであり、最新技術の導入により同工場全体で二酸化炭素の排出量削減と省エネ化への取り組みを行っていくこととしている。
 

札幌事務所

 
 
 平成22年産のてん菜糖生産については、糖業3社の各工場が10月12日〜20日の間に製糖を開始した。北海農農政部によると、10月中旬における農作物の生育状況では、てん菜はやや遅れて推移し、遅速日数は遅3と公表した。主要産地の生育遅速においてもオホーツク、十勝ともに遅3日と厳しい状況となっている。
 
 また、てん菜の生産状況などについて、糖業関係者などからの聞き取りによると、てん菜作付面積見込みが前年比1880ヘクタール減の約6万2560ヘクタールとなること、春先の降雪等による定植の遅れ、夏の高温多雨などにより病害(湿害、褐斑病、根腐病、黒根病)が発生し、過去に経験したことがない程の影響などで根重および根中糖分が低下したことなどから、今年産の産糖量は前年実績(63万9946トン)を下回るのはほぼ確実とみられ、交付金交付対象上限数量である64万トンを大幅に下回って製糖企業の経営に影響を及ぼすのではないかという懸念の声もある。
 
 道内3社8工場の原料処理量および産糖量見込みは下表のとおりで、昨年に比べて低糖度の原料が各製糖工場へ搬入されることによる製糖歩留の低下が予想されており、今後どの程度まで糖度が回復するか、その動向を注視する必要がある。
 
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
Tel:03-3583-8713