南アフリカでは、自国を含む南部アフリカ関税同盟(SACU)*注1)加盟国全体を国内市場として捉えている。SACU内の砂糖需要に対しては、以下の形で供給が行われている。
(ア)南アフリカなどSACU加盟国による生産
(イ)SACU加盟国とSACU非加盟国との間の二国間協定に基づく輸入
(ウ)南部アフリカ開発共同体(SADC)*注2)の議定書により、SACU加盟国以外で砂糖の生産量が消費量を上回るSADC加盟国に認められたアクセス枠
SACU市場へ供給される南アフリカ産砂糖のうち6割が家庭用、4割が食品産業用として利用されており、近年は食品産業用のシェアが拡大している。産業用砂糖の約6割が飲料生産に用いられており、ほかにパン製造・食品加工とチョコレート製造・製菓用などである。
SACU内の砂糖需要およびSACU市場に対する販売量は、この10年間で着実に伸びた。SACU市場における南アフリカ産砂糖への2009/10年度の総需要量は、過去最高の150万トンに達している。SACU市場で販売される南アフリカ産砂糖の約80%は依然として白糖であるが、最近の需要増加の大部分は、ブラウンシュガーの需要増によるものである。
また、2009/10年度の1人当たり砂糖消費量は、ピークだった前年度の35.8キログラムから34.5キログラムへとわずかに減少した。これは、2008年の世界金融危機に伴う経済的影響によるものと考えられる。
*注1)SACU加盟国は、南アフリカ、ボツワナ、レソト、ナミビア、スワジランド
*注2)SACU加盟国およびアンゴラ、コンゴ、マラウイ、モーリシャス、モザンビーク、セイシェル、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ