くすりの有効成分以外は、すでに記しましたように医薬品添加剤と称しています。その定義は用語解説欄に記しました。
医薬品添加物辞典2007(編集 日本医薬品添加剤協会、発行 株式会社薬事日報社)では、精製白糖は、安定(化)剤、甘味剤、基剤、矯味剤、結合剤、光沢剤、コーティング剤、糖衣剤、賦形剤、崩壊剤、防湿剤、白糖はこれらに加え、防腐剤、溶解剤、溶解補助剤、滑沢剤として使用されていると記されていますが、賦形剤、崩壊剤、結合剤、糖衣剤、甘味剤が主な用途といえます。
賦形剤は、文字通り形を賦与するものであり、有効成分のみですと微量で取り扱いに困難なため、不活性成分を添加し希釈することにより、取り扱うことが容易な嵩(かさ)・質量にします。有効成分と反応せず、品質がいつも一定で、比較的安価で、入手性が安定していることが必要です。有効成分と混合したときに、どこを採っても有効成分が均一に分布している(混合均一性といいます)ことも重要です。
結合剤ですが、くすりの成分は基本的には粉末ですので、粒にしたり、固めたりする際に、粉末どうしをくっつける必要があります。その作用をするものが結合剤で、のりのような作用をする成分です。
次に崩壊剤です。くすりが作用を発揮するためには、有効成分が体内の作用するところ(作用部位)に送り届けられる(送達される)必要があります。もちろん作用部位に送達するのは血液ですが、その血流に乗るためには、錠剤はコップ一杯(150〜200ミリリットル)の水または白湯で服用された後、胃内で崩れ(崩壊といいます)、次いで、胃内や消化管を移動中にその崩れた断片から有効成分が溶け出し(溶出といいます)、主として小腸上部から吸収され、その部位の毛細血管から血液に溶解した状態で血流とともに肝臓を経由し、全身静脈血とともに心臓へ流入し、肺を経由したのち動脈血とともに全身に流れ、作用部位に届けられることが必要です。
つまり、錠剤や顆粒剤などの固体状態の製剤が、崩れ、有効成分が溶解することが必要であり、固められた製剤が水分を吸収して崩れやすくする作用を有するものを崩壊剤といいます。白糖は水を吸って膨張することはありませんが、水への溶解性が極めて高いため、固体成分から白糖のみが溶解することにより、製剤の形状を保持することが出来なくなり、その結果崩壊するということになります。
コーティング剤は、苦味をマスクしたり、外気や湿気から内部を保護したり、体内での崩壊・溶出の調節(胃内で崩壊しないように腸でのみ溶解する皮膜を用いる、あるいは徐々に有効成分を放出するように工夫するなど)したり、他の錠剤と区別し易く(色や印字により識別性を賦与)したり、錠剤の外観を美しくしたりするために使用されています。白糖は糖衣錠に使用されています。
その他、昔から「良薬口に苦し」と言われているように、くすりは塩基性薬物が多いため大体苦味を呈しますが、散剤や顆粒剤の場合、服用時に有効成分固有の苦さを緩和する目的で、甘味剤を加えることがあります。通常、香料を一緒に使用し、甘味作用を増強します。余談ですが、日本では香料としてイチゴ味やオレンジ味が汎用されています、海外ではバナナ味やレモン味が好まれているようですが、味に対する国民性というか民族差があるようで興味深いことです。