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地域だより

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最終更新日:2010年12月28日

2010年12月

1 はじめに

 平成22年11月25日(木)に伊是名村において、沖縄県防災農業推進会議主催、伊是名村の協力により、平成22年度「防風林の日」関連行事が行われた。
 
 沖縄県は台風の常襲地帯であり、強風や潮害による農作物や農業用施設などへの被害が大きく、防風・防潮林の整備を加速させる必要があることから、平成18年に「沖縄県防災農業推進会議」を設置し、また、11月の第4木曜日を「防風林の日」と定め、防風・防潮林についての普及活動に取り組んでいる。
 
 「防風林の日」関連行事として、
(1)防風・防潮林の整備に積極的に取り組んでいる団体・個人の表彰
(2)防災農業推進講演会
(3)関係者や地元児童による植樹大会
が行われたので紹介する。
 

2 沖縄県防災農業賞表彰式

 本行事の第一部として、防風・防潮林を積極的に整備し、また他の地域の模範となる取り組みを行っている以下の2団体について、沖縄県防災農業賞の表彰式が行われた。
 
(1)勢理客じっちゃく大野山会(伊是名村)
 
 勢理客大野山会は、伊是名村字勢理客区の青年会OBが集落活性化のため昭和58年に組織した会で、区民の関心を高めきれいな農村環境を整備することを目的として、区内の除草・清掃作業を中心に活動している。
 
 平成5年には通学路(防風林帯)に桜苗木約150本を植樹し、さらに平成22年には集落入口の荒地を郷友会の協力のもと「勢理客人の森」として整備するとともに植樹祭を開催するなどし、農村環境整備を通じて地域の活性化に取り組んでいる。
 
 また、組織結成以来、定期的に防風林帯の下草刈りや農道・排水路等の清掃作業を行い、きれいな農村環境整備に向けて防風林帯の維持管理を継続的に行っている。これらのことが他集落の模範となる点が評価された。
 
 
(2)ふるさとフクギの会(石垣市)
 
 ふるさとフクギの会は、農家以外で構成された団体で、枯死等により改廃した農地防風林帯の再生活動に取り組んでいる。
 
 防風林(フクギ)等の新植や散水・施肥・除草の維持管理活動に加え、講習会や勉強会を開催しており、活動の一部を農業体験に活用し、農業者以外にも農業用施設の必要性を理解してもらい、自由に楽しみながら防風林帯の維持管理を行えるよう取り組んでいる。これらの活動が防風林の積極的な整備維持活動として評価された。
 
 

3 防災農業推進講演会

 本行事の第二部として、「地域が主体となった防風林整備の取り組みに向けて」をテーマに、宮古森林組合の上原康嗣氏と、沖縄県森林資源研究センターの生沢均氏を講師に迎え、防災農業推進講演会が行われた。
 
 上原氏は、「島宮古すまみゃーくグリーンネットの活動について」と題し、宮古島において地域住民が主体となって活動するボランティア団体「美ぎ島宮古グリーンネット」について、平成15年の台風14号(被害額132億円)をきっかけに、地域住民が主体となり災害に強い島づくりに取り組むために発足したという設立の経緯や、“植える”“育てる”“ふれあう”という3つの活動の柱のもと、会員参加型で植樹や維持活動に取り組む様子、さらには会員数や参加者数の確保や活動の周知等、課題について講演を行った。
 
 生沢氏は、「防風林で島を守ろう!〜恒久的な防風林を目指して〜」と題し、防風施設の種類、防風林の必要性、樹種選定・配置などの考え方、主要防風樹種の特性などについて、講演を行った。
 

4 植樹大会

 本行事の第三部として、同村東部地区において植樹大会が行われた。関係者代表による記念植樹に続き、地域住民や伊是名小学校5・6年生からなる緑の少年団47名、伊是名中学校の生徒が参加し、300メートルの防風林帯に千本の苗木を植樹した。複数の樹種を組み合わせることで、地域にあった防風林帯を作りあげることができるため、今回は、テリハボク、シマヤマヒハツ・アカテツ・ヤブニッケイ・アセロラ・グァバ・シークヮーサーの7種が植樹された。 
 
 深さ30cmの穴を掘り、固形肥料2個を入れた後、10cmほど土を被せ、苗木を植える。緑の少年団は、自分で植樹した苗木の横に、名札を添えた。自らの手で植林した防風林を、愛着をもって育てていくことを期待する。
 
 
 数十年後には、今回植樹した防風林が、奥のさとうきび畑を守ってくれることだろう。
 
 

5 おわりに

 台風の常襲地帯である沖縄県では、毎年台風被害がある。今年度の行事会場である伊是名村も、今年は台風7号の被害を受け、農作物の安定生産における防風林の重要性を改めて認識したことであろう。
 
 本行事で植樹した木が生長し、防風・防潮林として効果を発揮するには長い年月がかかり、植樹後の育林・維持管理作業には地域を挙げての継続的な努力が必要となる。今回の植樹には多くの地域住民や子供たちが参加しており、関心の高さがうかがわれた。防風林推進活動の重要性が次世代に継承され、地域の理解と協力により防災農業の確立がいっそう推進されることを期待したい。

那覇事務所

 
 
 
 平成22年12月21日(火)翔南製糖(株)において、平成22年産の製糖が開始された。製糖期間は同日から3月下旬までの約90日間の予定である。
 
 同社は早期に製糖を終了させ春植の植付け、株出管理を実施すれば、次年度に単収の向上が期待できることから、一昨年以来の年内操業となった。
 
 製糖開始にあたり、さとうきび搬入開始式が行われた。同社仲里代表取締役社長から「さとうきびは昨年より増産を見込んでいる。万全の態勢で今期の製糖期を乗り越えていきたい。」と挨拶があり、続いて比屋根八重瀬町長の挨拶の後、沖縄県南部トラック事業協同組合の代表などによって今年産の安全操業を願い、今年産初のさとうきびを積載した秤量所のトラックに御神酒を献ずる安全祈願献酒が行われた。会場には翔南製糖の製糖開始を祝って約70人の関係者が集まり、今期の搬入開始を祝った。
 
 会場の後方には、トラックいっぱいのさとうきびを積む約40台のトラックが待ち構えており、今年産の活気あるさとうきびの搬入が始まった。
今期は、平年に比べ降雨量が多く、5月は平年の2倍以上の降水量となって日照が不足し、さとうきび茎数減少などの影響があった一方、平年は降雨が不足しがちな生長旺盛期の7月から9月においても順調な降雨があり、茎長及び茎径は、平年作並みとなった。この結果、生産量は前年比4,000トン程度増加の133,000トン(対前年比3.1%増)、産糖量は前年比600トン程度増加の15,947トン(対前年比4.1%増)が見込まれている。
 
 なお、沖縄県における今年産のさとうきび生産量は814,276トン(対前年比0.3%増)が見込まれている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

鹿児島事務所

 
 
 
 平成22年12月9日(木)、機構鹿児島事務所は、パレスイン鹿児島(鹿児島市)において地域情報交換会を開催した。
同交換会は、機構鹿児島事務所が行う業務に対する管内関係者からの意見・要望等の把握、砂糖、でん粉およびその原料であるさとうきびやかんしょなどについての情報提供や意見交換を行うため、情報業務の一環として毎年開催しているものである。今回は、平成22年度の第2回地域情報交換会として、九州地区の精製糖企業・甘しゃ糖企業等および当機構から合わせて15名が一堂に会した。
 
 はじめに、機構鹿児島事務所の肥後所長から開催の挨拶として、今回の開催経緯や主旨について説明した後、天野所長代理から「砂糖の国際需給と世界の食料事情」と題して、昨今、30年ぶりの高水準で推移している砂糖の国際相場や世界の砂糖の需給状況など、当機構が収集した最新のデータを元にした解説を中心に、世界の食料事情に関するさまざまな課題等も織り交ぜながら、話題提供を行った。
 
 次に、調査情報部の脇谷上席調査役から「加糖調製品の需要動向について」と題して、機構が委託調査により実施している平成21年度甘味料の需要実態調査の結果をもとに、砂糖の需給に影響を及ぼすソルビトール調製品をはじめとした主要な加糖調製品について、ユーザーの使用動向などに関する情報提供を行った。
 
 さらに、精製糖企業の各担当者からは、主に砂糖の販売状況などについて、甘しゃ糖企業の各担当者からは、主に各島のさとうきびの生育状況や工場の操業状況などについて、それぞれ報告がなされた。
 
 その後の意見交換では、機構からの情報提供や出席者からの近況報告の内容に関して、質疑応答が行われた。「加糖調製品の需要動向について」に関しては、ソルビトール調製品の価格や流通状況、砂糖の販売に与える影響などの質問が出され、それぞれの質問に対して機構から説明が行われた。
 
 また、九州地区における砂糖の販売状況や含みつ糖の需要についても質問が出され、機構以外の出席者からもそれに対する関連情報が提供されるなど、甘味需要の伸び悩み、海外粗糖相場の高騰、加糖調製品との競合など、関係業界がさまざまな課題を抱える中で、改めて各出席企業の経営の参考となるような意見が活発に出され、大変有意義な意見交換がなされた。
 
 九州地区の精製糖企業や甘しゃ糖企業等の担当者が参集した地域情報交換会は今回が初めてであったが、参加者の中からは「各関係者との連携や情報交換を深めるためにも、今後も同様のメンバーによる交換会の開催を望む」という声が上がっていた。
 
 
 
 
 
 
 
 

札幌事務所

 
 
 平成22年11月29日(月)、札幌市消費者センターの主催により「体験テスト講座砂糖の多目的利用〜バイオエネルギーと化粧品〜」が開催された。この体験テスト講座とは商品選択の確かな目を養うために、簡易な実験などを行いながら体験的に学ぶ講座で、前回(平成22年2月25日開催)の「砂糖vs糖アルコール」に引き続き砂糖関連の講座開催となり、公募で選ばれた一般消費者21名が受講した。機構はこの講座開催に当たり、機構が製作したてん菜の模型を持参展示し、講義内容の基本となる北海道てん菜糖の原料であると紹介した。
 
 講座は、北海道バイオエタノール株式会社総務企画部村上師之部長が講師を務め、「北海道バイオエタノール(株)の取組みについて」と題し、バイオエタノール製造原料の一部として、道内で生産された「農業の担い手に対する経営安定のための交付金」の対象外のてん菜を活用し、輪作体系の維持を目指していることや食料生産と競合しないバイオエタノールを製造していること。北海道の豊富なバイオマス資源を利活用して、温室効果ガスの排出抑制と循環型社会の形成に農業の果たす役割に期待が寄せられていることなどの説明が行われた。
 
 説明後には、具体的なバイオエタノールの製造方法、てん菜以外の原料に関してやエタノール1リットル当たりの値段などの質問が寄せられ、受講者の関心の高さがうかがわれた。
 
 続いて、株式会社アビサル・ジャパン代表取締役幟立真理(のぼりたて まり)氏から「お砂糖のスキンケア〜北海道の甜菜は世界一〜」についてDVDの上映と資料を使った説明が行われた。
 
 説明後には、化粧品の原料はなぜてん菜糖なのか、黒糖やハチミツではだめなのかなど商品の安全性や医学的に認められているかなど多くの質問が寄せられた。また、体験テストでは受講者自らが化粧品サンプルを用い、手の甲でスキンケアを実験し保湿性などを体感して講義は終了した。
 
 体験テスト講座を終え、砂糖の食用用途の消費があまり期待できないなか、今回の体験テスト講座「砂糖の多目的利用」などを通じ、天然甘味料である砂糖の特性を消費者の方に理解してもらうことで、砂糖の消費拡大に少しでも役立つことを期待したい。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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