ホーム > 砂糖 > 機構から > ごあいさつ、年頭所感 > 年頭にあたって
最終更新日:2010年12月27日
独立行政法人 農畜産業振興機構 理事長 木下 寛之
明けましておめでとうございます。
旧年中の皆様方のご協力に感謝申し上げますとともに、本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。
さて、砂糖に関する海外の動きを振り返りますと、2009/10年度(10月〜9月)の世界の砂糖需給は、主要生産国であるブラジル、インドにおける生産回復により緩和され、国際砂糖価格は高騰から一転急落いたしましたが、昨年6月以降はブラジルにおける船積みの遅延、ロシア、中国における輸入増加の懸念などにより再び高騰し、輸入指定糖からの調整金収入が大きく減少しております。
2010/11年度においては、昨年の価格高騰を受け、主要生産国のさとうきび作付面積は増加すると見られますが、世界の消費量は増加傾向であることから、主要生産国の生産状況により、国際砂糖価格は大きく変動すると思われます。今後も、各国における砂糖及びバイオエタノール政策が、砂糖の需給にどのように影響するかが注目されるところです。
また、昨年は、再び世界的な天候不順により引き続き食料の国際価格の動向が大きな問題として取り上げられる年となりました。一時下落した原油価格も上昇基調にあり、燃油価格の上昇や穀物等の国際価格高騰による農畜産物の生産コスト上昇が、生産者の収益性の悪化を招いております。
さらに、世界に目を転じると、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめとする新興諸国が経済面での存在感を増しつつある中で、我が国は、昨年10月にインド、11月にペルーと相次いで経済連携協定(EPA)交渉に合意するなど二国間での枠組み形成が進展しました。さらに、環太平洋経済連携協定(TPP)についても情報収集を進めながら対応して行くこととされております。
このような中、関係者の皆様のご理解とご協力を得て、甘味資源作物生産者交付金交付対象者要件の見直しにともなう運用改善を実施し、交付金交付業務を円滑に遂行することができました。砂糖の生産者交付金と事業者交付金は、国からの交付金と輸入指定糖等からの調整金を財源としていますが、砂糖の国際価格高騰等を受け、平成22年度も調整金収支は大幅な赤字となっております。砂糖勘定の単年度収支の赤字(平成20年度以降毎年100億円超)と累積債務(平成21年度末で約700億円)の改善を図るため、昨年9月に農林水産省から、糖価調整制度の安定的な運営に向けた取組みについてその方向性が示され、平成23年度からは、財政措置等を含めた対策が予定されているところです。
当機構としても業務の適正かつ効率的な運営が引き続き重要と認識しております。砂糖を取りまく情勢が内外ともに大きく変化する中にあって、当機構が業務を円滑に進めることができましたのは、ひとえに皆様方のご理解とご支援のたまものと感謝申し上げます。
食料・農業を取り巻く情勢が激変する中にあって、業務の一層の効率化、透明性の確保に努めつつ、農畜産業及び関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定に資するよう、国民の視点に立った業務運営に取り組んでまいります。
本年が、皆様にとって希望に満ちた明るい年でありますことをご祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。