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地域だより

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最終更新日:2011年1月18日

2011年1月

札幌市で地域情報交換会を開催

札幌事務所

 
 
 平成22年12月16日(木)、当機構札幌事務所は、札幌市中央区第2水産ビル会議室において、平成22年度第2回目の地域情報交換会を開催した。
 
 砂糖・でん粉以外の分野横断的な取り組みとして、昨年度同様畜産および野菜についても情報収集・提供業務を実施することとしたため、今年8月に調査情報部が行った砂糖と野菜の海外調査の結果を講演会形式で報告した。
 
 内容については、砂糖は、現在世界最大の生産国・輸出国となったブラジルのさとうきび産業の情勢などについて、野菜は、わが国最大の輸入先国で国内需給に大きな影響を与える中国の野菜輸出企業の動向についてであった。
 
 参加者は、道内の製糖企業、行政関係者など合わせて28名が参集した。
 以下、講演の概要、意見交換の内容等を紹介する。
 
 
1)「ブラジルにおけるさとうきび産業の情勢」〜砂糖・エタノールの需給状況と最近の業界動向〜

(報告者:調査情報部調査課 中司課長代理)

 
 まず、世界における砂糖の需給について、10/11年度の生産量は1億6,940万トン、消費量は1億6,530トン、期末在庫率は25.8%となると見込まれていることが紹介された。
 
 次いで砂糖生産主要国の需給状況および10/11年度の最新の予測値を発表した。これによると、ブラジルは生産量・輸出量ともに過去最高となる見込みであること、インドでは生産回復により3年ぶりに純輸出国に転じるとみられていること、中国では在庫率が10%を下回るため対前年度比で大幅に輸入量が増加すると予想されていること、タイでは干ばつによりさとうきび生産量が減少するものの糖度の回復などにより輸出量は前年並みを維持するとみられていることなどが説明された。
 
 また、ブラジルの主産地であるサンパウロの状況等について説明した後、最後に総括として、世界の砂糖需要は今後も堅調に推移すること、フレックス車の普及によりエタノール需要の拡大が見込まれることから原料作物であるさとうきびが増産され、ひいては砂糖・エタノールの生産増が期待できること、さらに砂糖・エタノール事業者を取り巻く情勢(大規模化による業界再編、バガス発電による収益源の多様化など)から推察した場合、世界においてますます重要な位置を占めるとともに、その生産状況により世界需給へもたらす影響力も一層強まるとみられるため、同国の動向を注視する必要があるとした。
 
 
 
2)「中国における野菜輸出企業の動向」〜新たな展開と対日輸出の動き〜

(報告者:調査情報部 河原審査役)

 
 最初に、わが国の野菜輸入動向についての説明が行われ、残留農薬問題、ギョウザ事件、メラミン問題などにより安全性への懸念から平成19年以降輸入量が減少したものの、今年はわが国が全国的に天候不順で農作物が不作年となったことから輸入量が増加に転じたことなどが解説された。
 
 次に、中国の輸出動向については、平成19年以降輸出数量全体は800万トンで推移する一方、生鮮野菜はアジア諸国、中東、北米、中南米など、冷凍野菜は韓国、EU、北米などが増加していることを取り上げたほか、中国国内においても経済発展に伴う所得向上などから健康志向の高まりを受け、やまいも、オクラの消費量増、特にごぼうの消費量が大幅に増加しており、今後も国内消費量の増加が期待できるとともに、モロヘイヤなど新しい野菜を日系企業とともに開発するなどの動きがあることが紹介された。
 
 今後の対日野菜輸出をめぐる動きについては、定時、定量、定価格、定品質などといった厳格な仕様を求める対日輸出よりも条件の緩い東南アジア諸国などへの輸出が増加することで対日輸出への依存度は低下すると指摘した。
 
 
 
 
 講演後の質疑応答では、バイオエタノール製造関係の参加者から、ブラジルの砂糖・エタノール工場の業界再編による生産能力及び供給能力の行方、また、工場が生産者から原料を買い取る際の砂糖向けとエタノール向けとの価格差異等の質問があり、工場数については、大規模化・合併等により事業者数は200社から100社程度まで減少するも生産能力、供給能力については変わることなく、需要の増大により増産が見込まれること。原料の買取価格については、生産ラインの関係で、砂糖・エタノール両方の製造が可能であることから回収糖分により計算するので価格差がないとの説明がされた。
 
 参加者からの感想、意見では、「砂糖、野菜ともタイムリーな話題で良かった」、今後も、「国内外の畜産物、乳製品などの情報、海外の野菜の生産情報、引き続き砂糖に関する世界の情勢」について情報の提供をお願いしたい旨、要望があった。
 
 今後も農業の地域経済への寄与度が大きい道内の関係者に対し、地域情報交換会などを通じて有益な農畜産物の情報を発信していけるようにしてまいりたい。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
Tel:03-3583-8713