札幌事務所
平成22年12月16日(木)、当機構札幌事務所は、札幌市中央区第2水産ビル会議室において、平成22年度第2回目の地域情報交換会を開催した。
砂糖・でん粉以外の分野横断的な取り組みとして、昨年度同様畜産および野菜についても情報収集・提供業務を実施することとしたため、今年8月に調査情報部が行った砂糖と野菜の海外調査の結果を講演会形式で報告した。
内容については、砂糖は、現在世界最大の生産国・輸出国となったブラジルのさとうきび産業の情勢などについて、野菜は、わが国最大の輸入先国で国内需給に大きな影響を与える中国の野菜輸出企業の動向についてであった。
参加者は、道内の製糖企業、行政関係者など合わせて28名が参集した。
以下、講演の概要、意見交換の内容等を紹介する。
1)「ブラジルにおけるさとうきび産業の情勢」〜砂糖・エタノールの需給状況と最近の業界動向〜
(報告者:調査情報部調査課 中司課長代理)
まず、世界における砂糖の需給について、10/11年度の生産量は1億6,940万トン、消費量は1億6,530トン、期末在庫率は25.8%となると見込まれていることが紹介された。
次いで砂糖生産主要国の需給状況および10/11年度の最新の予測値を発表した。これによると、ブラジルは生産量・輸出量ともに過去最高となる見込みであること、インドでは生産回復により3年ぶりに純輸出国に転じるとみられていること、中国では在庫率が10%を下回るため対前年度比で大幅に輸入量が増加すると予想されていること、タイでは干ばつによりさとうきび生産量が減少するものの糖度の回復などにより輸出量は前年並みを維持するとみられていることなどが説明された。
また、ブラジルの主産地であるサンパウロの状況等について説明した後、最後に総括として、世界の砂糖需要は今後も堅調に推移すること、フレックス車の普及によりエタノール需要の拡大が見込まれることから原料作物であるさとうきびが増産され、ひいては砂糖・エタノールの生産増が期待できること、さらに砂糖・エタノール事業者を取り巻く情勢(大規模化による業界再編、バガス発電による収益源の多様化など)から推察した場合、世界においてますます重要な位置を占めるとともに、その生産状況により世界需給へもたらす影響力も一層強まるとみられるため、同国の動向を注視する必要があるとした。