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糖に関する表示について

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最終更新日:2011年2月2日

糖に関する表示について 〜「ゼロ」、「レス」の意味〜

2011年2月

精糖工業会理事兼事務局長 内田 豊

はじめに

 最近「糖質ゼロ」、「糖類ゼロ」などと謳った商品を数多く見かけるようになりました。また、似たような表示に「シュガーレス」、「無糖」、「低糖」、「砂糖不使用」、「甘さ控えめ」などがありますが、これらの表示の意味や違いはどこにあるのかご存知でしょうか?今回は、これらの表示についてご説明した上で、糖について考えたいと思います。

1.「ゼロ」表示のルール 〜栄養表示基準

 このような表示が始まったときは法的に明確な基準がなく、消費者を混乱させる恐れがありました。そこで平成7年、栄養改善法上に「栄養表示基準制度」が設けられました(平成14年の栄養改善法廃止に伴い、現在は健康増進法に移行しています)。

1)糖類に関する規程

 栄養成分等について「高」、「多」、あるいは「無」、「低」等を表示することを「強調表示」といい、含有量の基準が定められています。糖類については「無」、「低」等を表示する場合の基準が以下の通り定められています。
 
 ここで注意すべき点は、
 
(1)「ゼロ」、「無」などは含有量が完全にゼロではなくても表示できること。
(2)対象は砂糖だけではなく、他の糖類も含むこと。
 
 の二点です。このうち、(2)に関して重要なのが「糖類」の定義です。本基準における糖類とは、「単糖類+二糖類、但し糖アルコールは除く」となっています。単糖類にはブドウ糖、果糖などがあり、二糖類には砂糖(ショ糖)、乳糖などがありますが、含有量の規制はこれらの糖全てに係るということです。一方、キシリトール、エリスリトールなど「糖アルコール」という甘味料に分類されるものは、含有量の規制はありません。
 

2)糖質に関する規程

 「糖質」については別の規程があります。当基準における糖質の定義は「炭水化物−食物繊維」となっており、上記糖類とは別途、「ゼロ表示」できる基準として、「食品100g中(または飲料100ml中)の含有量が0.5g未満」と規定されています。
 
 
 
 

2.規制対象外の表示

 一方、似たような表示でも本基準の対象外のものもあります。その1つが「砂糖不使用」という表示です。
 
 この表示は「砂糖を使用していない」ということのみを示すもので、砂糖以外の糖について法的に制限されるものではありませんし、原材料(果物や野菜など)に砂糖が含まれていても、「使用」ではないので、この表示を妨げるものではないとされています。また、「甘さ控えめ」という表現も味覚を表すものですから、本基準の対象にはなりません(「糖類控えめ」は本基準の対象になります)。

3.糖類は健康に悪い? 〜おわりに

 このような製品が多数生まれた背景には、従来からのダイエット志向に加え、最近のいわゆる「メタボ」への関心からくる低カロリ−志向があるものと推測されます。
 
 もちろん、カロリーの過剰摂取は良いことではありません。しかし、厚生労働省の統計では、日本人の平均的なカロリー摂取量はむしろ減少傾向です。
 
 
 
 ここで重要なことは「過剰」とは、単に摂取が多いということではなく、「摂取量が消費量を上回る」ことであるということです。つまり、生活が便利になる中で摂取に見合う消費をしているかも大切な要素なのです。摂取を減らすことばかりでは、肝心な栄養素が不足してしまうことにもなりかねません。少なくとも特定の食品を避けることで解決する問題ではありませんし、生活全体の検証が必要であろうと思います。
 
 人は生きるために必要なカロリーや栄養素は摂取しなければなりません。そして、糖類を含む糖質は、活動のエネルギー源として人間にとって欠かすことの出来ない三大栄養素の1つであり、そのエネルギー(カロリー)は1g当たり4kcalと決して高くはありません。
 
 基本は3度の食事をバランスよく摂取し、食事全体としてのカロリーが自分の生活強度(活動量)に見合っているかに留意することです。その中で甘いものを楽しむことには問題はありませんし、一方でお菓子やおやつの甘さは、単なるエネルギー源だけでなく、家族や友人とのコミュニケーションを円滑にし、生活に潤いを与える大切な要素です。是非、上手にお付き合い下さい。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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