農家に対する認証は、製糖企業が責任を持って指導するという仕組みになる。したがって、BSIに加盟して、具体的な作業を行うのは製糖企業が単位となる。この認証を行う監査人を養成するためのトレーニングが、BIS会議に引き続き開催されていた。
こうした評価指標を満たすことで、さとうきび農家はGAP(農業生産工程管理)が達成される。そのことが生産量の増加やコスト低下による収益性の向上をもたらし、持続的な生産が行われることを狙っている。言い換え得れば、環境や人に優しいさとうきび生産を実施することで経営改善を図るということになる。こうしたことは、BSI参加者の共通認識であった。
一方で、製糖企業における認証のメリットには議論があった。それは認証された砂糖に対するプレミアムへの付加に関わる。つまりBSIでは認証された砂糖であっても価格は同じだと考えている。したがって、製糖企業が認証を受けることのメリットは、価格以外に求める必要がある。
個別に議論したところ、BSIに熱心な製糖企業がある一方で、厳しい見方をする製糖企業もあるようだった。積極的に評価する企業は、認証が企業価値を高めるための有効な手段としてとらえており、それが販路拡大につながることを期待している。
また、食品メーカーにも聞取りすると、BSI認証された砂糖にプレミアムを付けるかどうかは、状況次第ということであった。つまり販売する商品に付加価値がつかない限りは、プレミアムを付けることは難しいということである。それでも食品メーカーやエタノール企業がBSIに関わるのは、環境や人に優しいさとうきび産業に貢献しているという社会貢献が認知されることがある。また、社会貢献に関する認証を持つ商品という新たなマーケットへの進出という意味もあるようだ。