2007/08年度までの2年間では、目標の600万トンに対して220万トンの割当しか返還されなかった。しかしながら、3年目の2008/09年度には220万トンを大きく上回る割当が返還される結果となり、順調に割当の削減が行われたかたちとなった。このように2008/09年度に削減が進んだ理由として、以下の欧州委員会の措置が挙げられる。
○ 2009/10年度末までに削減数量が目標の600万トンに達しなかった場合には、最終削減(Final Cut)が行われることとなっていた。この最終削減は、それまでの自発的な削減に対して、一律かつ強制的なものとなる上、再構築助成金も交付されない。結果的にこれは実施されなかった。
○ 生産割当数量の一定割合について、1年間に限り生産を認めない一時凍結措置が行われたこと。この措置は実際に行われ、2006/07年度に250万トン、2007/08年度には200万トンの生産割当が一時凍結の対象となった。製糖業者にとっては、生産割当を保持していても、生産が行えない上、再構築賦課金は徴収されたことから、この措置が生産割当の削減に大きく貢献することとなった。なお、製糖業者が一時凍結数量を上回る割当を返還した場合は、再構築賦課金の支払いを免除された。
○ 2008/09年度限りの時限措置として、てん菜生産者に対する再構築助成金の追加交付(237.5ユーロ/トン)の措置が行われたこと。これにより、てん菜生産者は、最高で割当1トン当たり300ユーロ(625ユーロ×10% + 237.5ユーロ)を受け取ることとなった。また、てん菜生産者は、製糖業者が保有する生産割当数量の10%を限度として、製糖業者を通さず、生産割当数量の削減を加盟国政府に直接申請できることも認められた。