(2)安全性の問題
ア 適正な表示の推進
食品の表示は、食の安全・安心の柱の一つであり、消費者の商品選択のよりどころとなるもので、消費者に分かりやすい、適切な表示を行なうことが業界に対する信頼を高めることにつながる。ビスケット業界では、「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」に基づき、消費者に支持される表示の推進に努めているところである。
イ 安全性に関する諸問題
ビスケット類にかかわりのある今日の問題としては、イ−(1)アクリルアミドイ−(2)トランス脂肪酸などの問題があげられる。
アクリルアミドは食品の加工・調理時に高温で加熱した場合、アスパラギン(アミノ酸の一種)と還元糖が反応して生成され、発がん性があるとされており、一方、トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種でマーガリン、ショートニングなどの加工油脂やそれらを原料として製造される食品のほか、乳製品、精製植物油などにも含まれ、心筋梗塞や動脈硬化のリスクを高めるといわれている。
これらについては、わが国の消費の実態から見て、バランスの良い食生活を心がければ、健康への影響は少ないとされている(食品安全委員会見解)が、アクリルアミドについては、コーデックス委員会の議論なども踏まえ、協会としても会員企業の協力の下、前年度の農水省の委託事業を活用して、製品のアクリルアミドの分析調査や低減のための技術実証試験などを実施した。
なお、アクリルアミドの低減技術の一つとして、ビスケットの原材料の中の還元糖を蔗糖に切り替えることが有効とされており、ビスケットの生産現場において、この研究、取組みも始まっている。
また、トランス脂肪酸については、2月21日に消費者庁から「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」が公表され、トランス脂肪酸に関して食品事業者が情報開示を行う際の考え方が明らかにされたところである。