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5. 日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2011年5月9日

5. 日本の主要輸入先国の動向

2011年5月

調査情報部

 2010年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11‐190)が118万4848トンと全体の97.1%を占め、そのうち43.7%をタイ、41.5%を豪州、8.6%を南アフリカと、この3ヵ国で93.8%を占める。(財務省「貿易統計」)

タイ

 
 

(1)2011年4月における生産見通し

〜砂糖生産量は過去最高に達する見込み〜

 2010/11タイ砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は、前年度から大幅増加の131万ヘクタール(前年度比21.7%増)に上方修正された。さとうきび生産量については、収穫面積の上方修正に加え、単収が当初予測を上回っていることから、前月に引き続き上方修正され、前年度から大幅増加の8620万トン(同25.8%増)と予測されている。なお、3月末までのさとうきび圧搾量は7730万トンに達したと伝えられる。さとうきびの大幅な増産を受け、砂糖生産量は前月予測を140万トン上回る960万トン(粗糖換算、同31.4%増)に増加し、過去最高に達すると見込まれている。
 
 

(2)貿易状況

〜増産により輸出量も過去最高の見通し〜

 2010/11年度の砂糖消費量は290万トン(粗糖換算、前年度比8.6%増)と予測されている。これは、国内供給用の割当数量が前年度比50万トン増の250万トン(白糖換算)と設定され、さらに15万トン追加される可能性があるとの見込みに基づく。国内割当数量の拡大は、食品メーカーなど加工部門を中心に需要が高まっているほか、前年度の国際砂糖価格高騰時に、国内供給用に割り当てられた砂糖の一部が不正に輸出され、需給がひっ迫する事態となったことを受けたものである。輸出量については、生産量の上方修正を受け、前月予測を90万トン上回る670万トン(粗糖換算、同15.5%増)に増加し、生産量と同様、過去最高に達すると見込まれている。

 2月の粗糖・白糖輸出量は、今年度における製糖作業の本格化に伴う供給増加を受け、46万4000トン(前月比36.9%増)と前月から増加した一方で、前年同月の実績(65万7000トン)を下回った。業界筋によれば、価格高騰による輸入需要の減少が影響したとみられている。主要輸出先は日本、インドネシア、イラクであった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, April 2011”
 
 

豪州

 
 

(1)2011年4月における生産見通し

〜生産量は過去20年間で最低水準〜

 2010/11豪州砂糖年度(4月〜翌3月)の生産は終了した。同年度のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を反映し、37万ヘクタール(前年度比3.0%増)とやや増加の見通しである。しかしながら、ラニーニャ現象による多雨の影響を受け、さとうきび生産量は昨年7月時点の予測を330万トン下回る3060万トン(同2.5%増)と、前年度からわずかな増加にとどまったとみられている。砂糖生産量は、大雨による糖度の低下もあり昨年7月時点の予測から110万トン下方修正の360万トン(粗糖換算、同20.0%減)と、当初の増産見込みから一転し、過去20年間で最低の水準に落ち込んだとみられている。

 生産の約9割を占めるクイーンズランド州では年末年始にかけて洪水が発生し、また、2月初めには大型サイクロン「ヤシ」が同州北部のケアンズからタウンズビルにかかる一帯を直撃するなど、度重なる悪天候が来年度の生産にも悪影響を及ぼす可能性がある。同州では依然として降水量が平年の水準を上回っていることもあり、土壌の水分過剰と日照不足でさとうきびの生育不良が生じていると伝えられる。
 
 
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は前年度比22.1%減〜

 2010/11年度の砂糖消費量は、前年度からわずかに増加の110万トン(粗糖換算、前年度比1.0%増)と見込まれる。減産を受け、輸出量は前年度から大幅減少の250万トン(粗糖換算、同22.1%減)と、生産量と同様、昨年7月時点の予測(360万トン)を大きく下回るとみられている。

 輸出余力の低下により、豪州の砂糖輸出の約9割を扱うクイーンズランド砂糖公社(QSL)は、取引先との契約を履行するため、タイやブラジルなど第三国から調達した粗糖を輸出用に手当てしている。豪州の主要輸出先は韓国、インドネシア、日本などのアジア諸国となっている。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, April 2011”
 
 

南アフリカ

 
 

(1)2011年4月における生産見通し

〜生産量、過去15年間で最低の水準に〜

 2010/11南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)の生産は終了した。同年度のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、30万ヘクタール(前年度比2.1%増)に増加したとみられる。しかしながら、さとうきび生産量については、天水依存の生産が中心の主産地クワズール・ナタール州で深刻な干ばつが発生し、単収が平年の水準を大幅に下回ったことから、1600万トン(同14.1%減)と前年度からかなり大きく減少する見通しである。さとうきびの減産により、砂糖生産量は過去15年間で最低の210万トン(粗糖換算、同12.6%減)に落ち込むとみられている。国内最大手の砂糖企業Illovo Sugar社は、国内さとうきび生産が低水準にあることを受け、2011/12年度においては、保有する4つの製糖工場のうちクワズール・ナタール州にあるUmzimkulu工場の操業停止を決定した。
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は前年度から半減〜

 2010/11年度の砂糖消費量は、前年度並みの180万トン(粗糖換算、前年度比0.7%増)と見込まれる。輸出量については、減産に加え、前年度の国際価格高騰時に多くの業者が在庫を取り崩して輸出を行った反動から、40万トン(粗糖換算、同48.4%減)と前年度の約半分の水準にとどまるとみられている。

 2011年1月における粗糖・白糖輸出量は、減産による供給余力の低下から、前年同月比20.0%減の1万2000トンとなった。主要輸出先はマダガスカル、モザンビーク、ジンバブエなどのアフリカ諸国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, April 2011”
 
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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