平成23年産のさとうきび生育状況等について
最終更新日:2011年7月8日
平成23年産のさとうきび生育状況等について
2011年7月
1 はじめに
さとうきび生産は気象状況に左右されやすく、特に台風や干ばつによる被害は生育に大きく影響します。
22年産については、収穫面積は前年と比べ増加したものの、台風による被害や、植付時の長雨や日照不足などにより、生育の行方が心配されましたが、全般的には適度な降雨に恵まれた事もあり、平年並みの生産量となりました。 今回、糖業関係者から6月10日現在の23年産さとうきびの生育状況等の概要を聴き取ったのでご報告します。
2 生育状況
(1)鹿児島県
3月の気象状況は少雨で低温、4月以降も降雨はあるものの、低温傾向が続きました。この影響で、春植え、株出しについて、通常なら1〜2週間で萌芽するところですが、今年は1〜1カ月半程かかっており、生育に遅れが見られるようです。
また、23年収穫の夏植えについても、生育時期である1〜3月頃の日照不足の影響により、平年に比べて生育が芳しくないとのことです。また、5月末に通過した台風2号により、各地で潮害が出ているようです。今後の生育にどう影響するか心配されます。
(2)沖縄県
本島地域では3〜4月頃の低温や干ばつにより、初期生育が1カ月程遅れているようです。また、夏植えが多い宮古・八重山地域では、昨年の秋から冬にかけての日照不足の影響により、分けつ本数が少ないなど、生育に影響が出ているとのことです。沖縄を縦断した台風2号の影響で、潮害や生育初期過程にある春植えや株出しのさとうきびが折損被害を受けたため、夏植えに変更しようとする農家も出てきているようです。
3 収穫面積の動向
(1)鹿児島県
23年産の収穫予定面積は、前年より増加した地域はあるものの、全体として若干減少するのではないかとみられています。
作型別の割合について近年の傾向をみると、夏植え面積が徐々に減少し、株出し面積が増加しており、特に、種子島、徳之島、沖永良部島において顕著です。
株出し面積の増加は、作業受託組織による株出し管理作業の早期実施が定着してきたこと、農家の株出し栽培の効果(労務軽減、コスト安)の意識が高まってきたことなどが要因といわれています。また、プリンスベイト剤による土壌害虫の誘殺により株の分けつ茎数が増加するなどの効果を農家が実感してきていることも影響しているようです。
(2)沖縄県
23年産の収穫予定面積は、前年と比べ、本島や本島周辺離島は若干減少するものの、宮古・八重山地域では若干増加する見込みであることから、全体として大きな変動はないのではないかとみられています。
作型別では、前年と比べて春植え面積が減少し、株出し面積が増加するのではといわれています。夏植え面積が最も大きい宮古・八重山地域では、春植え・株出し栽培の推進や、プリンスベイト剤、誘殺灯等による土壌害虫の減少によって、収穫面積全体に占める株出し面積の割合は徐々に増加してきています。
4 おわりに
さとうきび生産は気象条件に大きく左右され、安定的な生産には収穫面積の確保が重要です。近年、収穫面積は増加傾向にありますが、23年産は現在のところ前年に比べ若干減少するといわれています。そのような中で、両県とも、春植え・株出し栽培への移行が進んできており、生産性向上を目指している地域が増えています。特に労務作業が比較的容易な株出し栽培への移行については各地域の増産プロジェクト会議による地域を挙げての取り組みで、今後ますます推進されるものと思われます。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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