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鹿児島県における平成22年産さとうきびの生産状況について

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最終更新日:2011年8月9日

鹿児島県における平成22年産さとうきびの生産状況について

2011年8月

社団法人鹿児島県糖業振興協会

1 はじめに

 さとうきびは、鹿児島県南西諸島の約8割の農家が生産している基幹作物であり、製糖業とともに地域経済を支える重要な役割を担っている。

 また、鹿児島県南西諸島において、農作物に最も大きな被害を与える気象災害は、恒常的に来襲する台風であるが、さとうきびは他の作物に比べて台風被害に強い作物でもある。  鹿児島県のさとうきびの平成21年農業産出額は約136億円、耕種部門では米、さつまいもに次ぐ第3位となっている。

 鹿児島県では、国の「さとうきび増産プロジェクト基本方針」に基づき、島ごとおよび県段階における生産目標や取組方向を示した「さとうきび増産計画」を平成18年6月に策定し、品目別経営安定対策に対応した大規模経営体や担い手の育成等による経営基盤の強化、機械化や地力増進による生産基盤の強化、病害虫防除対策の推進や優良品種の育成・普及など各般の施策を推進している。
 
 

2 平成22年産さとうきびの生育状況

(1) 種子島
 春植栽培では2月下旬〜3月上旬の降雨により植付けが遅れ、株出栽培においては、21年産の収穫期間の延長により管理作業が遅れた。

 分げつ期は、生育が緩慢に推移し、6月の日照不足や長雨の影響により平年を下回る茎数となった。
 伸長期は、7〜9月に台風の被害もなく、初期生育の遅れを取り戻し、9月末時点の仮茎長は平年を上回った。

 登熟期は、10月上旬までは仮茎長は平年を上回り、ほ場ブリックスも高めであったが、10月中〜下旬の強い風雨や、台風14号の影響により登熟が緩慢となった。さらに、12月の強風による葉の損傷や12〜2月の日照不足、1月の低温の影響もあり登熟は緩慢であった。

 (2) 奄美群島
 ほとんどの島で春植栽培、株出栽培ともに順調に植付け・管理作業が進んだ。

 分げつ期は、生育が緩慢に推移し、6月の日照不足や長雨の影響により平年を下回る茎数となり、さらに、沖永良部島や与論島ではメイチュウなどの被害も多発し、茎数不足の要因となった。
 伸長期は、7〜8月に適度な降水があるなど気象条件に恵まれたため順調に生育し、茎数は平年並み〜やや少ないものの仮茎長は平年を上回った。その後、喜界島、徳之島、沖永良部島では9月に干ばつ気味となり、生育が緩慢となった。

 登熟期は、10月下旬の集中豪雨や、台風14号等による潮風害の影響等から生育が緩慢となった。さらに、1〜2月の気温が平年より低めに推移したため登熟は緩慢に推移し、3月になり天候が回復し、登熟は進んだ。

3 平成22年産さとうきびの生産状況

 県全体では、収穫面積は21年産より183ha増加し1万465ha、生産量は1万3092t増加し64万7543t、単収は17kg/10a増加し6188kg/10aとなった。

 なお、生産量の内、分みつ糖原料用が64万1808tで99%を占めている。

 作型は、株出栽培が325ha増加し6372ha(64%)、春植栽培は同程度の2289ha(22%)、夏植栽培は144ha減少し1480ha(14%)となった。

 品種構成は、農林8号が56%を占め、次いで農林22号が17%、農林17号が10%、農林23号が9%となっている。
 
 
 
 
 
 
(1) 島別の収穫面積・生産量等

・種子島(西之表市、中種子町、南種子町)
 収穫面積は2749haで21年産より125ha増加したものの、生産量は19万7917tで8587t減少した。
 作型は、72%を占める株出栽培が133ha増加し1969haとなった。品種構成は、農林8号が91%を占めているが、早期高糖品種の農林22号が174haと年々増加してきている。

・奄美大島(奄美市外3町村)
 収穫面積は636ha、生産量は3万3019tで、ともに21年産並みであった。
 作型は、株出栽培が378haで59%を占めている。主な品種構成は、農林17号が38%、農林22号が27%となっている。

・喜界島(喜界町)
 収穫面積は1243haで21年産より19ha減少したものの、生産量は8万8230tで5436t増加した。
 作型は、株出栽培が624haで50%、夏植栽培が490haで39%を占めている。 品種構成は、農林8号が67%、農林17号が10%、農林22号が8%となっている。

・徳之島(徳之島町、天城町、伊仙町)
 収穫面積は3951haで21年産より27ha減少したものの、生産量は22万177tで 1万2663t増加した。
 作型は、株出栽培が2662haで67%、夏植栽培が944haで24%を占めている。品種構成は、農林8号が45%、農林22号21%、農林23号が15%となっている。

・沖永良部島(和泊町、知名町)
 収穫面積は1389haで21年産より49ha増加し、生産量は7万9603tで2376t増加した。
 作型は、株出栽培が707haで51%、夏植栽培が460haで33%を占めている。 品種構成は、農林8号が45%、農林22号36%となっている。

・与論島(与論町)
 収穫面積は21年並みの497haであったが、生産量は2万8597tで1960t増加した。
 作型は、株出栽培が357haで72%を占めている。 主な品種構成は、農23号が55%、農林8号が17%となっている。


(2) ハーベスタによる収穫状況(ハーベスタ台数、作業面積)

 さとうきびの労働時間の大半を占める収穫作業の省力化を図るため、これまで、国庫補助事業等を活用したハーベスタの導入が図られてきている。 22年産では、約400台のハーベスタが稼働し、収穫面積の8割以上でハーベスタによる収穫作業が実施された。
 
 
 
 

4 製糖工場の操業状況

 鹿児島県では、一島一製糖会社体制で6島6会社(7工場)が操業している。
 22年産の分みつ糖の原料処理量は前年より1万2172t増加し64万1808tとなったものの、糖度(買入糖度)は0.23度低い13.60度となった。

(1) 種子島(新光糖業株式会社)
 当初、原料処理量の増加が見込まれたため、21年産の操業開始より1週間程度早い11月24日から操業を開始したが、登熟期の天候不良等により原料処理量は前年産より8586t少ない19万7633tとなったことから操業終了は10日程度早い4月21日となった。
 糖度(買入糖度)は21年産より0.56度低い12.40度となった。

(2) 奄美大島(富国製糖株式会社)
 原料処理量は21年産より1865t少ない2万9898tで、操業は前年並みの1月7日から3月30日となった。
 糖度は0.27度低い14.71度となった。

(3) 喜界島(生和糖業株式会社)
 原料処理量は21年産より5703t増加し8万7219tとなったが、操業は前年並みの12月13日から4月7日となった。
  糖度は0.13度低い14.47度となった。

(4) 徳之島(南西糖業株式会社)
 原料処理量は21年産より1万2599t増加し21万8910tとなり、操業は一週間程度早い12月2日から開始したが、操業終了も一週間程度早い3月27日となった。
 糖度は0.03度低い14.00度となった。

(5) 沖永良部島(南栄糖業株式会社)
 原料処理量は21年産より2361t増加し7万9552tとなり、操業は一週間程度早い12月8日から開始したが、操業終期は二週間程度早い4月10日となった。
 糖度は0.2度低い14.19度となった。

(6) 与論島(与論島製糖株式会社)
 原料処理量は21年産より1960t増加し2万8597tとなったが、操業は前年並みの1月5日から3月24日となった。
 糖度は0.24度低い13.69度となった。
 
 

5 おわりに

 鹿児島県では「さとうきび増産計画」に沿って生産拡大が進みつつあり、22年産は、収穫面積と生産量では県の27年目標を上回ったが、島ごとでは22年目標を下回っている島もある。

 また、品目別経営安定対策についても、A−5特例が廃止されたものの、共同利用組織の構成員特例や委託面積割合の特例等(H22〜24年度)で対象となっている者の本則要件への移行も課題である。

 このため、引き続き、「さとうきび増産計画」の達成に向け、関係機関・団体と一体となり、担い手の育成はもとより、収穫面積の確保や病害虫防除対策、干ばつ時のかん水対策など各般の施策を総合的に推進していく必要がある。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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