札幌事務所
平成23年9月8日(木)〜9日(金)、社団法人北海道てん菜協会の主催により、平成23年度てん菜そう根病抵抗性検定試験並びに同予備試験の現地調査が、北海道立総合研究機構北見農業試験場(以下、「北見農試」)、日本甜菜製糖株式会社(帯広市上清川)、ホクレン農業協同組合連合会(斜里町川上)、北海道糖業株式会社(本別町奥仙美里)の各試験ほ場において、農業団体、試験研究機関、てん菜糖業者など約20名の参加のもと実施された。
てん菜のそう根病とは、かびの一種であるポリミキサ・ベーテによって媒介されるウィルス病で、この菌は10年以上も土の中で生存できるため、一度汚染されると絶滅させることは不可能に近く、根中糖分を著しく低下させる。そう根病防除に有効な手段がないことから、抵抗性品種の開発が最も重要な技術とされている。
そのため、そう根病抵抗性品種登録の際に必要とされている特性検定試験が実施されており、その過程は、各糖業者の試験ほ場において予備試験(1年以上)が行われ、選抜後、北見農試において、特性検定試験(3年以上)が実施される。
今回の北見農試で行われた特性検定試験の検定品種
(注1)として、北海系統品種の北海101号、輸入品種系統9品種(H139、H142、H143、HT32、HT34、HT35、KWS9R38、KWS0K170、KWS1K234)の計10品種と標準品種
(注2)のモノホマレ、特性検定基準2品種
(注3)のモノヒカリ、モノミドリ、対照5品種
(注4)のリッカ、リボルタ、パピリカ、ユキヒノデ、ゆきまるとなっている。
各糖業で行われている予備試験では、ほ場に抵抗性品種の判定を容易にするため、特性検定基準品種のうち、抵抗性が最も低いモノミドリ(現在一般のほ場では栽培されていない)が栽培され、肉眼での抵抗性の比較が行いやすくなっている。また、各糖業では、検定品種の他に、標準品種のモノホマレ、特性検定基準品種のモノミドリ、対照品種として各糖業が開発して優良品種に登録されている品種を栽培し、抵抗性の比較を行っている。
なお、同試験は、そう根病汚染ほ場(隔離ほ場)で独立した試験として実施されることとなっており、各糖業者の予備試験を含め、試験ほ場に入るときは使い捨てのオーバーシューズ(ビニール製)を履き汚染土壌が流出しないように注意して現地調査を実施している。
昨年は、夏季の高温および多雨の影響でそう根病以外の発病が見られたが、今年はそう根病以外の病気が発生しないよう注意し、試験区ごとのそう根病発生割合にばらつきが少ない傾向にあり、このまま推移すれば10月中旬に収穫調査が行われ、12月には精度の高い試験結果が期待できるとのことであった。
これからのてん菜の栽培品種は時代の変化に対応した、収量あるいは糖分の高い品種、収量と糖分のバランスの取れた品種、各種病害に抵抗性を有する品種などの出現が期待されている。