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5. 日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2011年9月9日

5. 日本の主要輸入先国の動向

2011年9月

調査情報部
 

 2010年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11‐190)が118万4848トンと全体の97.1%を占め、そのうち43.7%をタイ、41.5%を豪州、8.6%を南アフリカと、この3ヵ国で93.8%を占める。(財務省「貿易統計」)

タイ

 
 

(1)2011年8月における生産見通し

〜砂糖生産量、過去最高に達する〜

 2010/11タイ砂糖年度(10月〜翌9月)の生産は終了し、さとうきびの大幅な作付増加により、砂糖生産量は過去最高の1000万トン(粗糖換算、前年比40.1%増)とみられる。

 農業経済局によると、2011/12年度のさとうきび作付面積は前年度比3%増加すると見込まれる。この作付面積に基づき、気象条件に恵まれ前年度並みの単収が達成されれば、さとうきび生産量は9800万トン台に達するものと予測される。

 しかし、タイの北部および北東部の主要なさとうきび産地では、季節はずれの豪雨による被害が生じており、さとうきび・砂糖委員会(OCSB)の関係者は、2011/12年度のさとうきび生産量が同3.5%減となる可能性を示唆している。

 現在のところ、豪雨による影響は未知数であるが、上述のとおりさとうきび生産量が増加し平年並みの歩留まりとなれば、砂糖生産量は1040万トン(同4.3%増、粗糖換算)に達すると見込まれる。
 
 

(2)貿易状況

〜国内消費の低迷で輸出量はさらに増加する可能性も〜

 2010/11年度の輸出量は砂糖の増産を受け、過去最高の710万トン(粗糖換算、前年度比22.8%増)に達する見込みである。タイでは冷夏および長雨の影響で、飲料向けを中心に砂糖の消費が低迷しており、国内供給が過剰気味である。このため、製糖業界は、政府に対して国内市場に割り当てられる砂糖の一部を輸出に回すよう要請するとしており、9月の輸出量がさらに増加する可能性もある。

 2011/12年度の消費量は290万トン(粗糖換算、同3.2%増)と300万トンをわずかに下回ると見込まれる。一方、輸出量は、砂糖生産の増加を受けて前年度からさらに増加し、消費量との差から引き続き700万トン台を維持すると見込まれる。

 OCSBは、タイさとうきび・砂糖公社(TCSC)に対して、毎年80万トンの粗糖を輸出するよう割り当てている。このうち、50%は国内工場に配分され、残りの50%は入札により商社へ販売される。TCSCは、7月12日の入札の際に2011/12年度産の粗糖6万トンを入札に付したが、応札額が低かったため、落札数量は半分である3万トンにとどまった。

 6月の粗糖・白糖輸出量は、砂糖の増産を受けて100万6000トン(前月比3.4%増)となり、主要輸出先はインドネシア、日本、マレーシア、韓国などであった。韓国向けが増加したのは、6月末の期限付きで設定された粗糖および白糖の無税枠に対する駆け込み輸入が増加したためである。なお、韓国の無税枠は現在、12月末まで期限が延長されている。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, August 2011”
 
 

豪州

 
 

(1)2011年8月における生産見通し

〜2011/12年度の製糖は順調に進展〜

 2011/12豪州砂糖年度(7月〜翌6月)のさとうきび収穫面積は、大量の刈り残しが発生した前年度と比較するとかなりの程度増加し、38万ヘクタール(前年度比7.6%増)と予測されるが、さとうきび生産量は、サイクロン「ヤシ」をはじめとした多雨がさとうきびの生長に影響し、単収が下がるとみられ、前年度並みの2930万トン(同0.6%増)と予測される。一方、砂糖生産量については、さとうきびの糖度が前年度よりも上がるとみられ、380万トン(粗糖換算、同5.0%増)と増加が予測されるものの、2009/10年度以前と比較すると依然として低水準である。

 製糖企業の業界団体である豪州製糖工場協議会(Australian Sugar Milling Council)は8月11日、5月中旬に開始された今年度の圧搾状況を発表した。それによると、生産地の大半で雨が少なく収穫作業に最も適した天候が続いていることから、収穫作業は順調に進み、圧搾量は直近の4週間で500万トン以上を超え、8月上旬までに今年度収穫量の1/3に相当する1000万トン以上となった。また、収穫後の植付け作業についても、すべての地域で順調となっている。

 今後も良好な天候が続けば、砂糖生産量が上方修正される可能性もあると関係者はみている。
 
 

(2)貿易状況

〜1社を除く製糖企業がQSLとの粗糖供給契約を更新〜

 2011/12年度の砂糖消費量は110万トン(粗糖換算、同1.1%増)と、ほぼ横ばいの推移が予測される。輸出量は増産を反映し、270万トン(粗糖換算、同6.0%増)と前年度から増加が予測されるが、過去5年平均(343万トン)と比較すると低水準である。

 クイーンズランド(QLD)州における粗糖輸出の窓口となっているクイーンズランド砂糖社(Queensland Sugar Limited;QSL)は7月、州内の製糖企業9社のうちMSF Sugar 社を除く8社と輸出向け粗糖の委託契約を更新したことを発表した。これにより、8社は2014/15年度末までQSLを通じて粗糖を輸出することとなる。この8社には、中国国有企業の穀物大手COFCOに買収されたTully Sugar社、シンガポール系パーム油大手Wilmarに買収されたSucrogen社も含まれる。MSF Sugar 社は2013/14年度までQSLを通じて粗糖を輸出するが、2014/15年度以降は自社で直接販売することが濃厚となった。同社は5つの製糖工場を持ち、総圧搾能力は年間420万トンと、州内第3位の規模である。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, July 2011、Australian Sugar Milling Council他
 
 

南アフリカ

 
 

(1)2011年8月における生産見通し

〜砂糖生産量は前年度並みの210万トン〜

 2010/11南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)の砂糖生産は、生産の約8割を占めるクワズール・ナタール州で深刻な干ばつが発生した影響により、過去15年間で最低の水準に落ち込んだ。同州ではかんがい施設が整備されておらず、生産動向は天候に左右され易いとされる。

 同国では、既に2011/12年度の製糖が本格化している。同年度のさとうきび収穫面積は前年度並みの30万ヘクタール(前年度比1.7%増)と予測され、さとうきび生産量は1650万トン(同3.3%増)と前年度からやや回復すると見込まれている。ただ、前年度の干ばつが2011/12年度に収穫されるさとうきびの生育にも悪影響を及ぼすことから、単収は1ヘクタール当たり54.6トンと、過去5年間の平均(63.0トン)を大きく下回ると予測されている。さとうきびの生産量は前年度からやや回復するものの、糖度の低下が見込まれるため、砂糖生産量は前年度並みの210万トン(粗糖換算、同0.7%増)にとどまる見通しである。

 大手砂糖企業Illovo Sugar社は、国内さとうきび生産が低調であることを受け、今年度においては、保有する4つの製糖工場のうちクワズール・ナタール州にあるUmzimkulu工場の稼働を停止している。
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は前年度に引き続き低調となる見通し〜

 2011/12年度の砂糖消費量は、ほぼ前年度並みの180万トン(粗糖換算、前年度比0.6%増)と予測されている。前年度に引き続き生産が低調なことから、輸出量は40万トン(粗糖換算、同1.1%増)にとどまる見通しである。これは、過去5年間の平均(80万トン)を大きく下回る水準である。

 2011年5月の粗糖・白糖輸出量は、2011/12年度の生産開始に伴い4月から増加したものの、前年同月と比べ46.4%減の2万6000トンとなった。主要輸出先はアンゴラ、ジンバブエ、モザンビークなどのアフリカ諸国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, August 2011”
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713