札幌事務所
平成23年産てん菜糖の生産が道内3社8工場で10月13日〜21日の間に開始された。北海道農政部が公表した10月中旬における農作物の生育状況のうち、てん菜については順調で平年並みに推移し、主要産地の十勝では早2日、オホーツクでは遅2日となっている。
今年産のてん菜の生育状況を見てみると、春先の天候不順などによる移植作業の遅れが発生したものの、6月から主産地において平均気温が高めに推移し、7〜8月の日照時間が多かったことなどから生育は順調に推移した。
しかし、9月に発生した台風による大雨、日照不足と全道的な高温の影響により、褐斑病などの病害が広範囲にわたり発生したこと、9月の天候が比較的温暖で昼夜の寒暖差がなかったため根重は平年並みだが糖分の上昇が期待できないこと、また、道南、士別など春先の天候不順で定植が遅れた地域では原料の低品質、低収量となったことなどから、今年産の産糖量は、平成23砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)平成23年9月農林水産省公表の59万4千トンを3万トン程度下回ると予測されている。
帯広測候所によると、農耕期(4〜9月)における気象経過について、帯広の平均気温の積算温度が2788.7℃と平年比105.7%、1961年の統計開始以来過去8番目の高さとなり、2年連続で高温年となったとしている(過去最高は昨年の2885.6℃)。
昨年は高温多雨などによる病害の多発の影響で一昨年に続く不作となり、産糖量は46万6000トンと昭和61年に糖分取引が開始されてから最低水準だったこともあり、畑地産地資金、平成23年産てん菜作付確保緊急対策および平成23年産原料てん菜作付面積緊急糖業助成事業などを活用することにより、てん菜糖製造事業者をはじめ生産者、行政など関係者が一体となった取り組みが行われ巻き返しが期待されたものの、てん菜の作付面積が前年に比べて減少したことに加え、上述の気象経過の影響で低調な産糖量が予想されている。
なお、道内3社8工場の原料処理量および産糖量見込みは下表のとおりとなっている。