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地域だより

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最終更新日:2011年12月16日

2011年12月

那覇事務所

1 はじめに 

 沖縄県は台風の常襲地帯であり、強風や潮害によるさとうきびなどの農作物や農業用施設などへの被害が大きく、防風・防潮林の整備を推進する必要があることから、県は平成18年に「沖縄県防災農業推進会議」を設置し、また、11月の第4木曜日を「防風林の日」と定め、防風・防潮林についての普及活動に取り組んでいる。

 防風・防潮林は、さとうきびの塩害や倒伏・折損を防ぎ、収量の減少および糖度の低下を防ぐことに寄与している。 平成23年度は、11月24日(木)に伊江村において、沖縄県防災農業推進会議主催、伊江村の協力により、平成23年度「防風林の日」関連行事として、

(1)防風・防潮林の整備に積極的に取り組んでいる団体・個人の表彰
(2)防災農業推進講演会
(3)関係者や地元児童による植樹大会

が行われた。
 
 

2 沖縄県防災農業賞表彰式

 防風・防潮林を積極的に整備し、また他の地域の模範となる取り組みを行っている以下の1団体および2個人について、沖縄県防災農業賞の表彰が行われた。


(1)うるま市果樹産地協議会(うるま市)

 うるま市果樹産地協議会は台風の強風や塩害により安定生産が難しいと言われていた中晩生柑橘(天草、レモンなど)に取り組み、品種の転換を図りながら、防風林の整備・保全に取り組んできた。

 組織活動は、JA営農指導員および普及センターとの連携のもとで、月1回の栽培講習会および現地検討会を開催し、12月の収穫期には、マスコミなどを招待した収穫祭において保全状況を紹介している。

 今後の計画としては、毎年2月に防風林の保全管理現地検討会の開催と毎月の定例会を利用して防風林の保全管理のポイントを会員相互で確認していくこととしている。


(2)大城 健 氏(伊江村)

 大城氏は、さとうきびを約200アール栽培し、約80トンを生産している。畑が、海岸線に面していることから、風台風などの風害があり、そのため、40年ほど前からイヌマキ、フクギおよびリュウキュウコクタンなどを畑や家の周囲に植栽してきた。

 病害虫発生時期には年に1〜2回ほど消毒剤を散布し、せん定を年1回程度行うなど適宜管理を行っている。

 また、イヌマキ、フクギ、トベラおよびマサキなどの混植を行い、村の農地防風林のモデルとなった。

 今後は、南大東島から譲り受け植栽しているヤシと、生長の早いヤラブおよび生長の遅いフクギとの混植を計画している。


(3)内間 俊英 氏(伊江村)

 内間氏は、主にさとうきびと葉たばこを栽培している。20代のころから防風林を畑の周囲に植栽し始めた。防風林を植栽することで農作物の風害防止はもちろん、土壌の流出防止効果もあり、海への悪影響も防ぐことができると認識している。

 また、県職員の林業指導員として約5年間伊江村役場で指導しながら、村内各地に植栽を行っており、イヌマキ、フクギ、トベラおよびマサキなどの混植は、村の農地防風林のモデルとなった。

 今後は、果樹を中心とした植栽や記念木の促進などを考えている。
 
 

3 防災農業推進講演会

 「地域における防風林の役割と台風対策」をテーマに、琉球大学農学部の仲間勇栄氏と、株式会社海邦技研の上間泰男氏を講師に迎え、防災農業推進講演会が行われた。

 仲間氏は、「福木の防風林を見直そう〜歴史の中から考える〜」と題し、琉球王朝時代に植栽され、今も防風林として機能しているフクギについて、本部町にある備瀬集落のフクギの事例を中心にとりあげ、フクギ屋敷林の配置構造を紹介し、今後のフクギを中心とした防風林モデルについての講演を行った。

 上間氏は、「防風林の防風効果について」と題し、宮古島や本島北部の事例を紹介しながら、防風林の減風効果、作物に対する効果や樹木の選定、植え付けの維持管理方法などについての講演を行った。

4 植樹大会

 同村北部のカミチ原において植樹大会が行われた。主催者である伊江村長挨拶、来賓挨拶、農家代表によるスローガン・がんばろう三唱の後、次年度開催地である読谷村長への引継ぎセレモニー、関係者代表による記念植樹などに続き、地域住民や伊江小学校および西小学校の児童からなる緑の少年団24名が参加し、約200メートルの海岸沿いの防風林帯に1200本の苗木を植樹した。複数の樹種を組み合わせることで、地域にあった防風林帯を作りあげることができるため、今回は、テリハボク、イスノキ、クロキ(リュウキュウコクタン)およびハイビスカスの4種が植樹された。
 
 

5 おわりに

 台風の常襲地帯である沖縄県では、毎年台風被害がある。今年度の行事会場である伊江村も、今年は5月の早期台風2号と8月の長時間にわたり沖縄本島を暴風域に巻き込んだ台風9号の被害を受け、農作物の安定生産における防風林の重要性を改めて認識したところである。今回の植樹には多くの地域住民や子供たちが参加しており、防風林への関心の高さがうかがわれた。本行事で植樹した木が生長し、防風・防潮林として効果を発揮するには長い年月が必要で、植樹後の育林・維持管理作業を持続的に行うことは、地域での絶え間ない努力が必要となる。防風林推進活動の重要性が次世代に継承され、地域の理解と協力により防災農業の確立がいっそう推進されることを期待したい。

札幌事務所
 

 北海道上川郡清水町に位置するホクレン農業協同組合連合会清水製糖工場では、平成23年10月17日から平成23年産の製糖を開始した。

 同工場は昭和37年の操業以来、今年で50周年を迎え(記念式典は8月8日に開催)、節目の年に新結晶缶を導入した。平成22年産の製糖終了後、春先から旧結晶缶の撤去工事を開始し、今年9月30日に4分割された結晶缶の設置工事が完了した。同工場における大規模な新施設の導入は、平成9年〜10年のクロマト設備、糖液濃縮装置などの製糖設備合理化改造工事が行われて以来13年ぶりとなり、安定操業維持へ向けた取り組みの一環である。

 今年、清水製糖工場の主要機械設備において更新されたのは、同工場内に設置されている6缶の結晶缶のうちの2缶(結晶缶ならびにクリスタライザー含む。下図参照)であり、主にグラニュー糖を生産するために使用される。同工場では、グラニュー糖の他にも上白糖、糖みつを乾燥させた含みつ糖を生産している。

 真空結晶缶とは、煎糖工程において低圧で糖液を煮詰める装置のことである。一般に溶液の沸点は、外圧が小さいほど低くなることから、この装置を使って濃縮を低温度で行うことができ、高温による溶質の損失が避けられるとともに熱エネルギーの節約ができる。真空ポンプで缶内を減圧し、缶内に装置したパイプの内部または外部にスチームを通じて加熱する。加熱装置の型式によりコイル式真空結晶缶、カランドリア真空結晶缶、リングエレメント真空結晶缶などの種類がある。

 今回、新たに導入された結晶缶は国内産で、従来の鉄製に対しステンレス製である。型式は真空強制循環カランドリア型ストレート缶で、同機には撹拌機が付属されており、製造中結晶のムラができにくくなるなどの特徴がある。新規導入された新真空結晶缶の処理能力は、従来の一缶当たり39tから45tへ能力がアップした。缶体容量は30m3、伝熱面積は180m2となっている。また、結晶缶で発生する蒸気についても、工場のコスト削減の観点から有効に活用する体制を目指している。

 今後について、引き続き省エネ・省資材によるコスト低減や顧客満足度を意識した製品品質の更なる向上に向け取り組みを行っていきたいとしている。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713