札幌事務所
北海道上川郡清水町に位置するホクレン農業協同組合連合会清水製糖工場では、平成23年10月17日から平成23年産の製糖を開始した。
同工場は昭和37年の操業以来、今年で50周年を迎え(記念式典は8月8日に開催)、節目の年に新結晶缶を導入した。平成22年産の製糖終了後、春先から旧結晶缶の撤去工事を開始し、今年9月30日に4分割された結晶缶の設置工事が完了した。同工場における大規模な新施設の導入は、平成9年〜10年のクロマト設備、糖液濃縮装置などの製糖設備合理化改造工事が行われて以来13年ぶりとなり、安定操業維持へ向けた取り組みの一環である。
今年、清水製糖工場の主要機械設備において更新されたのは、同工場内に設置されている6缶の結晶缶のうちの2缶(結晶缶ならびにクリスタライザー含む。下図参照)であり、主にグラニュー糖を生産するために使用される。同工場では、グラニュー糖の他にも上白糖、糖みつを乾燥させた含みつ糖を生産している。
真空結晶缶とは、煎糖工程において低圧で糖液を煮詰める装置のことである。一般に溶液の沸点は、外圧が小さいほど低くなることから、この装置を使って濃縮を低温度で行うことができ、高温による溶質の損失が避けられるとともに熱エネルギーの節約ができる。真空ポンプで缶内を減圧し、缶内に装置したパイプの内部または外部にスチームを通じて加熱する。加熱装置の型式によりコイル式真空結晶缶、カランドリア真空結晶缶、リングエレメント真空結晶缶などの種類がある。
今回、新たに導入された結晶缶は国内産で、従来の鉄製に対しステンレス製である。型式は真空強制循環カランドリア型ストレート缶で、同機には撹拌機が付属されており、製造中結晶のムラができにくくなるなどの特徴がある。新規導入された新真空結晶缶の処理能力は、従来の一缶当たり39tから45tへ能力がアップした。缶体容量は30m
3、伝熱面積は180m
2となっている。また、結晶缶で発生する蒸気についても、工場のコスト削減の観点から有効に活用する体制を目指している。
今後について、引き続き省エネ・省資材によるコスト低減や顧客満足度を意識した製品品質の更なる向上に向け取り組みを行っていきたいとしている。