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5. 日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2012年7月10日

5. 日本の主要輸入先国の動向

2012年7月

調査情報部
 

 2011年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11−190)は149万9581トンと、全体の97.7%を占める。そのうち、タイ(71.5%)、豪州(17.0%)、南アフリカ(2.0%)と、この3カ国で90.5%を占める。(財務省「貿易統計」)

タイ

 
 

(1)2012年6月における生産見通し

〜2011/12年度の砂糖生産量は過去最高の1070万トンの見込み〜

 2011/12タイ砂糖年度(10月〜翌9月)の製糖は終了した。同年度のさとうきび収穫面積は、さとうきび価格の上昇による作付け増加を受け、129万ヘクタール(前年度比2.6%増)に増加の見通しである。収穫面積の増加により、さとうきび生産量は9800万トン(同2.1%増)に増加し、過去最高に達したとみられている。さとうきびの増産と糖度の上昇を受け、砂糖生産量は前年度からかなりの程度増加の1070万トン(粗糖換算、同7.2%増)と予測され、さとうきびと同様、過去最高となる見通しである。

 2012/13年度のさとうきび収穫面積は、138万ヘクタール(同7.0%増)に増加すると予測されている。作付けの増加は、キャッサバやトウモロコシなどから収益性の良いさとうきびへの転作が進むと見込まれるためとされる。ただ、株出し回数の増加や5月の乾燥した天候により単収は前年度を下回るとみられるため、さとうきび生産量は9300万トン(同5.1%減)と、前年度からやや減少すると予測されている。さとうきびの減産により、砂糖生産量は990万トン(粗糖換算、同7.5%減)に減少の見通しとなっている。
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜2011/12年度の輸出量は810万トンに達する見通し〜

 2011/12年度の砂糖消費量は260万トン(粗糖換算、前年度比4.0%減)に減少するとみられている。これは、同年度の国内向け割当量が前年度を10万トン下回る240万トン(白糖換算)に設定されたためである。輸出量は、増産により前年度から大幅増加の810万トン(粗糖換算、同35.0%増)と予測され、生産量と同様、過去最高に達すると予測されている。なお、2012年4月の粗糖・白糖輸出量は前年同月比24.2%増の79万9000トンとなった。主要輸出先はインドネシア、中国、日本などのアジア諸国であった。

 2012/13年度の砂糖消費量は、前年度をやや上回る270万トン(粗糖換算、同3.1%増)と予測されている。輸出量は、減産により720万トン(粗糖換算、同10.9%減)に減少の見通しとなっている。とは言え、2009/10年度以前の水準(530万トン以下)を大きく上回るとみられる。 資料:LMC “Monthly Sugar Report, June 2012”
 
 

豪州

 
 

(1)2012年6月における生産見通し

〜砂糖生産量は460万トンに回復の見込み〜

 豪州では、6月中旬に2012/13砂糖年度(7月〜翌6月)の製糖が開始された。同年度のさとうきび収穫面積は、さとうきびの収益性向上と良好な天候を背景に42万ヘクタール(前年度比10.8%増)に増加の見通しである。収穫面積の増加に加え、サイクロン被害などを受けた前年度から単収が回復するとみられるため、さとうきび生産量は前年度から大幅増加の3560万トン(同17.0%増)と予測されている。さとうきびの増産により、砂糖生産量は前年度から大幅増加の460万トン(粗糖換算、同16.5%増)と、2009/10年度以前の水準(450万トン以上)に回復するとみられている。
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜生産回復により輸出量は340万トンに増加の見込み〜

 2012/13年度の砂糖消費量は、前年度をわずかに上回る120万トン(粗糖換算、前年度比1.3%増)と見込まれている。輸出量は、増産を受け、前年度から大幅増加の340万トン(粗糖換算、同21.1%増)と予測され、生産量と同様、2009/10年度以前の水準(340万トン以上)に回復するとみられている。

 中国の投資会社 Kimberley Agricultural Investmentsは、西オーストラリア州北部におけるオード川農地拡張計画の一環として払い下げられる農地1万5000ヘクタールの入札に参加している。同社はこの農地で砂糖および食肉事業の展開を計画している。仮に同社が落札した場合、同地域でさとうきび生産が拡大する可能性がある。 

資料:LMC “Monthly Sugar Report, June 2012”
 
 

南アフリカ

 
 

(1)2012年6月における生産見通し

〜砂糖生産量は240万トンに回復の見込み〜

 2012/13南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は前年度から変わらず、27万ヘクタールと予測されている。さとうきび生産量は、干ばつ被害を受けた前年度から単収が回復するとみられるため、前年度からかなり大きく増加の1890万トン(前年度比12.5%増)と見込まれている。生産の約8割を占めるクワズール・ナタール州では、大半の地域が十分な降雨に恵まれ、さとうきび生育は良好な状態にあるとされる。同州ではかんがい設備が整備されておらず、天候による生産への影響が大きい。さとうきびの増産により、砂糖生産量は前年度から大幅増加の240万トン(粗糖換算、同20.2%増)となり、2009/10年度以前の水準(240万トン以上)を回復するとみられている。
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜輸出量は50万トンに増加の見通し〜

 2012/13年度の砂糖消費量は、前年度をわずかに上回る190万トン(粗糖換算、前年度比2.0%増)と見込まれている。増産により、輸出量は前年度比約2倍の50万トン(粗糖換算、同116.8%増)と予測されている。ただ、2009/10年度以前の水準(80万トン以上)は下回るとみられている。

 2012年3月における粗糖・白糖輸出量は前年同月比41.0%減の1万640トンとなり、主要輸出先はジンバブエ、モザンビーク、アンゴラなどのアフリカ諸国であった。

 資料:LMC “Monthly Sugar Report, June 2012”
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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