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4. 世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2012年9月10日

4. 世界の需給に影響を与える諸国の動向

2012年9月

調査情報部

ブラジル

 
 

(1)2012年8月における生産見通し

〜砂糖生産量は前年度比4.8%減の見込み〜

 2012/13ブラジル砂糖年度(4月〜翌3月)におけるさとうきび収穫面積は、前年度をわずかに下回る818万ヘクタール(前年度比2.8%減)と予測されている。これは、新植の割合が前年度に比べ増加し、平年を上回るため、今年度は収穫されないほ場が多いとの予測に基づく。さとうきび生産量は、収穫面積の微減に加え、株出し回数の増加と前年度の乾燥した天候による単収の低下が見込まれるため、前年度をやや下回る5億4400万トン(同3.0%減)と予測されている。砂糖生産量は3750万トン(粗糖換算、同4.8%減)と、前月予測から130万トン下方修正され、減少幅が拡大した。この要因として、生産の約9割を占める中南部で4〜6月の降水量が平年を大幅に上回り、さとうきびの糖度低下が予測されることが挙げられる。

 主産地中南部のブラジルさとうきび産業協会(UNICA)によると、同地域における8月16日までのさとうきび収穫量は2億6110万トン(前年同期比12.6%減)、砂糖生産量は1530万トン(粗糖換算、同12.3%減)、エタノール生産量は99億600万リットル(同17.5%減)と、いずれも前年度を大幅に下回っている。これは、前年度の乾燥した天候によるさとうきびの生育遅れを受け、製糖工場が生育期間を延ばすために収穫開始を遅らせたこと、また、4〜6月に降雨が続き、収穫作業が行えなかったことが要因とされる。7月以降は乾燥した天候が続き、収穫ペースも上昇しているものの、6月までの遅れをとり返すには至っていない。関係者の間では、さとうきびの刈り残し発生を懸念する声も出始めている。
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜輸出量は前年度比6.9%減の見通し〜

 2012/13年度の砂糖消費量は、前年度からわずかに増加の1340万トン(前年度比1.9%増)と見込まれている。輸出量は、生産量の下方修正を受け、前月予測を110万トン下回る2430万トン(粗糖換算、同6.9%減)と予測され、減少幅が拡大した。2012年7月の粗糖・白糖輸出量は、主産地中南部で降雨の影響により製糖が遅れていることから、前年同月比18.7%減の249万トンとなった。主要輸出先は中国、アラブ首長国連邦、エジプトであった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, August 2012”
    ブラジルさとうきび産業協会(UNICA)プレスリリース 2012/8/23
 
 

インド

 
 

(1)2012年8月における生産見通し

〜2011/12年度の砂糖生産量は前年度比7.0%増の見込み〜

 2011/12インド砂糖年度(10月〜翌9月)の製糖はほぼ終了した。同年度のさとうきび収穫面積は498万ヘクタール(前年度比4.4%増)に増加し、さとうきび生産量は3億5120万トン(同2.6%増)と、前年度に引き続き高水準となった。砂糖生産量は、さとうきびの増産に加え、主産地ウッタル・プラデーシュ州を中心にアルコール生産などに利用されるグル向けのさとうきびが砂糖向けに流入したため、2810万トン(粗糖換算、同7.0%増)に増加するとみられている。

 2012/13年度のさとうきび収穫面積は前年度から変わらず、498万ヘクタールと予測されている。しかしながら、さとうきび生産量は前年度からかなりの程度減少し、3億2900万トン(同6.3%減)と見込まれている。この要因として、株出し回数の増加や降水量の不足による単収の低下が挙げられる。7月31日までの全国のモンスーン期の降水量は過去50年間の平均を19%下回り、生産への影響が懸念されている。中でも、生産の約3割を占めるマハーラーシュトラ州では降雨不足が深刻な状況にあり、一部生産者はさとうきびのほ場をより水要求量の少ない作物に転換しているとされる。さとうきびの減産が予測されることから、砂糖生産量は2650万トン(粗糖換算、同5.7%減)に減少すると予測されている。

注:インドの伝統的な含みつ糖
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜2011/12年度の輸出量は前年度比19.7%増の見込み〜

 2011/12年度の砂糖消費量は2480万トン(粗糖換算、前年度比2.2%増)に増加すると予測されている。増産により国内供給の過剰が見込まれることから、政府は2011/12年度において2回にわたり合計200万トンの砂糖輸出を許可した。さらに、政府は5月上旬に砂糖輸出の制限を一時的に解除することとした。この背景には、さとうきび生産者の作付け意欲を維持するため、輸出を後押しすることで製糖工場の資金繰りを改善し、さとうきび代金の未払い問題を解消したいとの政府の思惑があるとされる。6月から9月にかけてはモンスーン期の降雨により船積み作業などが制限されるものの、2011/12年度の最終的な輸出量は340万トン(粗糖換算、同19.7%増)と、前年度から大幅に増加すると予測されている。なお、製糖工場は政府に輸出を報告することが義務付けられており、政府は、2011/12年度の砂糖輸出量が合計400万トンに達した時点で、再び輸出を制限するとしている。

 2012/13年度の砂糖消費量は、前年度からやや増加の2530万トン(粗糖換算、同2.0%増)と見込まれている。生産量は前年度から減少するとみられるものの、消費量を上回ると見込まれることから、輸出量は140万トン(粗糖換算、同59.1%減)と予測され、インドは前年度に引き続き純輸出国となる見通しである。

 政府は、2012/13年度におけるさとうきびの適正価格(FRP:Fair and Remunerative Price)をトン当たり1700ルピー(約2720円、1ルピー=1.6円)と決定し、前年度から17%引き上げた。この価格は砂糖回収率9.5%を基準とし、0.1%上回るごとにトン当たり14.6ルピー(約23.4円)のプレミアムが支払われる。FRPは実質的な最低価格であり、製糖工場はこれを上回る価格で生産者からさとうきびを買い付けなければならない。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, August 2012”
注:TTS相場7月最終日
 
 

中国

 
 

(1)2012年8月における生産見通し

〜2011/12年度の砂糖生産量は前年度比10.2%増の見込み〜

 中国における砂糖生産の約9割は南部で生産されるさとうきびを原料とし、残りは北部のてん菜に由来する。2011/12中国砂糖年度(10月〜翌9月)の製糖は終了した。同年度のさとうきび収穫面積は158万ヘクタール(前年度比5.4%増)に増加し、単収も前年度を上回ったため、さとうきび生産量は8950万トン(同10.8%増)に増加したとみられている。さとうきびの増産により、甘しゃ糖生産量は1140万トン(粗糖換算、同8.8%増)に増加すると見込まれている。

 一方、てん菜収穫面積は22万ヘクタール(同11.9%増)に増加し、単収も好天により前年度から上昇したことから、てん菜生産量は900万トン(同31.9%増)に増加したとみられている。これを受け、てん菜糖生産量は前年度から大幅増加の110万トン(粗糖換算、同27.0%増)と見込まれている。これらのことから、中国全体の砂糖生産量は前年度からかなりの程度増加し、1240万トン(粗糖換算、同10.2%増)と見込まれている。

 2012/13年度について、さとうきび収穫面積はほぼ前年度並みの158万ヘクタール(同0.3%増)と予測されている。天候が平年並みとなれば、さとうきび生産量は9220万トン(同3.1%増)、甘しゃ糖生産量は1190万トン(粗糖換算、同5.2%増)に増加すると見込まれている。一方、てん菜収穫面積は前年度から変わらず、22万ヘクタールと予測されている。てん菜生産量は、天候に恵まれた前年度に比べ単収が減少するとの見込みから810万トン(同10.1%減)に減少し、てん菜糖生産量も100万トン(粗糖換算、同6.4%減)に減少するとみられている。

 これらのことから、2012/13年度における中国全体の砂糖生産量は1300万トン(粗糖換算、同4.2%増)と、前年度からやや増加の見通しとなっている。
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜2011/12年度の輸入量は前年度比約2倍の見通し〜

 2011/12年度の消費量は1490万トン(粗糖換算、前年度比1.5%増)に増加し、前年度に引き続き国内生産量を上回るとみられている。国内供給の不足に加え、政府による備蓄の積み増しも行われるとの見込みから、輸入量は440万トン(粗糖換算、同90.1%増)と前年度に比べ約2倍に増加すると予測されている。2012年6月の粗糖・白糖輸入量は前年同月比約3.4倍の38万トンに増加し、主要輸入先はタイ、キューバ、豪州であった。

 2012/13年度について、消費量は1520万トン(粗糖換算、同2.2%増)に増加すると見込まれている。輸入量は、増産により230万トン(粗糖換算、同46.9%減)に減少するとみられている。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, August 2012”
 
 
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