4.世界の需給に影響を与える諸国の動向
最終更新日:2013年1月10日
4.世界の需給に影響を与える諸国の動向
2013年1月
ブラジル
【生産見通し】
砂糖生産量はほぼ前年度並みの見込み
2012/13ブラジル砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は、新植ペースの上昇により今年度は収穫されないほ場が多いとの見込みから818万ヘクタール(前年度比2.8%減)と、前年度からわずかに減少するとみられている。さとうきび生産量は、6月の降雨量が平年に比べ多かった影響により単収が当初予測を上回るとみられることから、前月の予測から1000万トン上方修正され、5億7600万トン(同2.7%増)に増加の見通しとなっている。さとうきび生産量の上方修正を受け、砂糖生産量は前月予測を69万トン上回る3967万トン(粗糖換算、同0.7%増)と、ほぼ前年度並みになるとみられている。
主産地中南部地域のブラジルさとうきび産業協会(UNICA)によると、年度開始から12月1日までのさとうきび収穫量は5億1051万トン(前年同期比4.6%増)、砂糖生産量は3291万トン(同5.9%増)、エタノール生産量は2038万キロリットル(同0.6%増)と、いずれも前年度を上回っている。中南部地域では4〜6月に平年を上回る降雨などの影響を受け収穫作業に遅れが生じたものの、7月以降はおおむね乾燥した天候が続き、収穫ペースが回復している。
【貿易・政策動向等】
輸出量も前年度並みとなる見通し
2012/13年度の砂糖消費量は前月予測から8万トン上方修正され、1352万トン(粗糖換算、前年度比1.9%増)と見込まれている。輸出量は、生産量の上方修正を受け、前月予測を61万トン上回る2615万トン(粗糖換算、同0.1%減)とみられている。2012年11月の粗糖・白糖輸出量は、中南部地域における収穫ペースの回復を受け、前年同月比15.3%増の286万トン4000トンとなった。主要輸出先はインドネシア、インド、中国などのアジア諸国であった。なお、インドについては2011/12年度に豊作となったが、モンスーン期の降雨不足などを背景に国内価格が上昇したため、輸入需要が高まったとみられている。
資料:LMC “Monthly Sugar Report, December 2012” ブラジルさとうきび産業協会(UNICA)プレスリリース 2012/12/11
インド
【生産見通し】
砂糖生産量は前年度比7.2%減の見込み
インドでは2012/13砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫が開始された。同年度の収穫面積は505万ヘクタール(前年度比1.8%増)と前月予測から9万ヘクタール下方修正されたものの、単収の増加が見込まれることから、さとうきび生産量は前月予測を1017万トン上回る3億3819万トン(同5.4%減)と予測されている。しかしながら、糖度の低下が見込まれるため、砂糖生産量は前月予測から11万トン下方修正され2642万トン(粗糖換算、同7.2%減)と、前年度からの減少幅は拡大するとみられている。
11月末までのインド全体の砂糖生産量は233万トン(白糖換算)と、ほぼ前年度並みとなっている。主産地のマハーラーシュトラ州およびウッタル・プラデーシュ州では生産者と製糖工場間でさとうきび価格の交渉が難航し、製糖開始が計画よりも遅れたものの、カルナタカ州など他州で製糖開始が早まり、主産地の遅れを相殺した。生産の約3割を占めるマハーラーシュトラ州については、前年度からの降雨不足の影響でさとうきびの作付けが減少し、収穫面積は前年度から12%減少するとみられている。さらに、同州では今年度のモンスーン期の降雨量が過去50年間の平均を20%以上下回ったため単収の減少も懸念されており、さとうきび生産量の大幅な減少が見込まれている。
【貿易・政策動向等】
輸出量は115万トンの見通し
2012/13年度の砂糖消費量は、前年度からやや増加の2545万トン(粗糖換算、前年度比2.7%増)と予測されている。生産量は前年度から減少すると予測されているものの、消費量を上回るとみられ、さらに、在庫水準も高いことから輸出量は115万トン(粗糖換算、同67.8%減)と、前年度に引き続き純輸出国となる見通しである。なお、輸出量の予測値は、国際砂糖価格が軟化し、製糖業者の輸出意欲が減退していることを反映し、前月から86万トン下方修正された。
政府は国内供給が豊富なことを受け、2012年5月以降砂糖の輸出制限を一時的に解除していたが、この措置は2011/12年度をもって終了した。2012/13年度からは、政府が国内の需給状況をみながら輸出量を決定し、各製糖工場に割り当てる従来の輸出方式がとられている。
粗糖、白糖の輸入関税の見直しについて、政府は2012年内に判断を下すとみられている。現在の輸入関税はそれぞれ10%となっているが、マハーラーシュトラ州の製糖業者は、粗糖の輸入関税を減免し、白糖の輸入関税を20%に引き上げることを提案している。この背景には、同州でさとうきびの大幅な減産による工場稼働率の低下が見込まれることから、輸入粗糖を精製し国内市場に販売したいという製糖工場の思惑がある。しかしながら、ウッタル・プラデーシュ州をはじめ増産が見込まれる他の州はマハーラーシュトラ州の提案に強く反発している。
資料:LMC “Monthly Sugar Report, December 2012”
中国
【生産見通し】
さとうきびの増産により、砂糖生産量は前年度から大幅増加の見込み
中国における砂糖生産の約9割は南部で生産されるさとうきびを原料とし、残りは北部のてん菜に由来する。既に両地域で2012/13中国砂糖年度(10月〜翌9月)の生産が開始されている。さとうきび収穫面積は前月予測から1万ヘクタール引き上げられ、167万ヘクタール(前年度比7.7%増)に増加の見通しとなっている。単収も前月予測を上回るとみられることから、さとうきび生産量は1億746万トン(同21.4%増)、甘しゃ糖生産量は1394万トン(粗糖換算、同22.7%増)と前月予測からそれぞれ272万トン、19万トン上方修正された。
てん菜収穫面積は、前月予測を2万ヘクタール上回る24万ヘクタール(同10.3%増)と予測されている。単収も前月予測を上回るとみられることから、てん菜生産量は1012万トン(同10.2%増)と前月から124万トン上方修正された。しかしながら、糖度の低下が予測されるため、てん菜糖生産量は前月から据え置きの119万トン(粗糖換算、同9.2%増)と見込まれている。
これらのことから、2012/13年度における中国全体の砂糖生産量は前月から19万トン上方修正され、前年度から大幅増加の1513万トン(粗糖換算同21.5%増)と予測されている。
【貿易・政策動向等】
輸入量は35万トンに減少の見通し
2012/13年度の砂糖消費量は、前年度からわずかに増加の1522万トン(粗糖換算、前年度比2.2%増)と見込まれている。大幅な増産が見込まれる上、在庫水準も高いことから、輸入量は35万トン(粗糖換算、同93.2%減)と、過去最高を記録した前年度から大幅な減少見通しとなっている。2012年10月の粗糖・白糖輸入量は34万トンと、ほぼ前年同月並みとなった。輸入の大半はブラジル産であった。
資料:LMC “Monthly Sugar Report, December 2012”
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