手前に風圧除去されたハカマが排出されている(○で囲んだ箇所)
選別された梢頭部は、肉用子牛生産者へ提供される
ハカマはロール状に成形され、、ゆうのうセンターへ提供される
(3)−3 ゆうのうセンター
ゆうのうセンターは、中山間地域総合整備事業の特認整備施設として国70パーセント・県25パーセント・市町村5パーセントの負担割合で設営され、平成18年度に施設全体が完成した。堆肥化方式は自走式攪拌機を使用したエンジン自走攪拌式である。平成23年度の堆肥出荷量は1,342トン、平成24年度は1,301トンである。
同センターでは、平成24年度鹿児島県堆肥コンクールで優秀賞を獲得した「ゆうのう1号」(1トン当たり8,000円)のほか、同年度からさとうきび作専用堆肥「キビ堆肥」(1トン当たり3,000円)を製造・販売している。
「ゆうのう1号」には、富国製糖から提供されるケーキ(65パーセント)、ハカマなどの刈草類(4パーセント)、牛糞(8パーセント)、鶏糞(8パーセント)、島内のチップセンターから提供されるバーク(15パーセント)が混合されている。主にかぼちゃや露地野菜、タンカンなどの果樹の生産者に販売されている。
一方「キビ堆肥」は、堆肥利用促進のため、低価格化および散布労力の軽減化を目的に、主にバーク(10パーセント)と牛糞(90パーセント)のみを混合して水分調整し、搬入・攪拌から約7カ月で出荷、1トン当たり3,000円で販売している。「キビ堆肥」は、生産者へ実施したアンケート内の要望から製造が決定した。化学肥料の多用やハーベスター収穫により酸性度がさらに高くなり堅くなったと言われる奄美大島の圃場の、地力回復への効果が期待されている。同センターでは、24年産の「キビ堆肥」の施用圃場の効果分析の実施も今後検討していく予定だという。
「キビ堆肥」の平成24年度出荷数量は434トンである。今後も、圃場の土壌調整に活用してもらおうと、奄美市の広報誌などを通じてPRしていく予定だ。同センターでは、圃場散布用のマニュアスプレッダーも保有しており、奄美市内では1台当たり1,500円で散布作業を請け負っている。生産者の負担を軽減しながら土壌改善を促していきたいとのことである。
なお、大島本島さとうきび生産対策本部(奄美市・龍郷町・富国製糖・JAあまみ大島事業本部からなる組織)は、平成24年度補正予算により、国が助成する「さとうきび等安定生産体制緊急確立事業」を活用し、メイチュウ類などの病害虫対策のほか、地力増進対策として、生産者が当該キビ堆肥を購入する際の費用を支援する予定としている。不作が続く状況にあって、事業を契機にキビ堆肥の利用が増え、生産回復につながることが望まれる。
層状に積み上げた原料を、自走式撹拌機によって撹拌する
堆積させたものを、ホイルローダーによって3〜4回切り返しを行いながら発酵させる
保有するマニュアスプレッダーで、圃場への散布も行っている