鹿児島事務所 所長 星 英幸
平成25年7月9日(火)、奄美市笠利農村環境改善センターで、大島本島地区さとうきび生産振興大会(主催:大島本島さとうきび生産対策本部、共催:奄美市さとうきび振興対策協議会、龍郷町さとうきび振興会、あまみ農業協同組合大島事業本部、富国製糖株式会社、以下「生産振興大会」という。)が開催された。
生産振興大会には、奄美市、龍郷町の生産農家、糖業関係者、JAおよび行政関係者など約210名が参加した。
奄美大島における平成24/25年期のさとうきびは、平成24年8月までは順調に生育していた。しかしながら、1)8月下旬以降に台風15、16、17号が連続して襲来し、さらに、追い打ちをかけるように10月に台風21号が襲来したことにより、さとうきびの倒伏や茎葉部折損が見られ、生育に大きな影響が出たこと 2)メイチュウ類などの病害虫の被害による芯枯れの発生や、原料茎が食害を受けたこと−などが要因となり単収が低下したことなどから、富国製糖株式会社の原料処理量は、1万6658トンと2年連続で2万トン割れの過去最低となり、極めて厳しい年となった。
生産振興大会で、大島本島地区さとうきび生産対策本部長の朝山毅奄美市長は「農家の皆様にとって2期連続の凶作となったが、来期こそは、その教訓を活かし、土作り、肥培管理などに努めていただきたい。行政としては、関係機関一体となって増産に向けた環境作りを推進してまいりたい。」と呼びかけた。
来賓の祝辞として、当機構の小菅正美理事より「さとうきび生産を取り巻く情勢は厳しい状況にあるが、さとうきび増産基金による生産回復に向けた事業などを活用し、関係者が一体となって生産に取り組むことにより、奄美大島はもとより鹿児島県南西諸島全体におけるさとうきびの増産と地域経済の一層の活性化につながることを期待したい。」との応援メッセージが送られた。その後、鹿児島県大島支庁農林水産部農政普及課の奥真隆課長の祝辞に次いで、4人の優秀農家の表彰が行われた。
続いて、富国製糖株式会社奄美事業所の勢幸一常務取締役事業所長から現段階でのさとうきびの生育状況などについて報告があり、「7月1日に生育調査を行ったところ、順調に生育しているが、メイチュウ類も散見されるため、早めの防除をお願いしたい。また、収穫面積の拡大を図るため、春植の苗不足により植え付けができなかった畑や離農された農家の畑などを活用することにより、夏植の面積を一定量確保してもらいたい。これにより、各作型(夏植、春植、株出)のバランスが図られ、単収向上につながる。こうした取り組みにより、来期は2万5000トンを目標生産量とし、その後の3万トンへのステップの年と位置付けたい。さとうきびの増産によって、必ずや町の活気を取り戻す。」と農家に対して、作付け意欲の向上を呼び掛けた。
続いて、鹿児島県農業開発総合センターの脇門英美農業専門普及指導員より「大島本島さとうきび畑における土づくり対策」と題し、1)奄美大島における土壌の分布と特性 2)土づくりの重要性 3)堆肥の施用、緑肥のすき込み効果 4)土壌改良資材、緩効性肥料の施用効果 5)畑地かんがい水の利用―について講演があった。
その後、以下のスローガンが掲げられ、関係者一体となって生産回復に向け取り組んでいくことを確認し、ガンバロウ三唱で生産振興大会は終了した。
【平成25年度大会スローガン】
● 中耕培土・除草・施肥の肥培管理作業を徹底し生産量回復に努めよう。
● 病害虫の早期発見と早めの防除に努めよう。
● さとうきび収穫面積600ヘクタール以上の確保により生産量を増やそう。
● 地域と共生し、話し合い活動を通じて、さとうきびと農地を守ろう。
2年連続して大変厳しい気象条件下でのさとうきび栽培を強いられたが、生産農家、糖業関係者および各関係機関の尽力により来年度こそは豊作の年であるよう祈念するとともに、当機構としても、生産農家の方々が安心してさとうきびを作り、経営の安定に資することができるよう、今後も交付金の交付業務の適切な運営に努めてまいりたい。