東京農業大学 名誉教授 中西 載慶
酒は、それぞれの国のそれぞれの民族が、自然と共生しながら地域の産物を巧みに利用し、優れた知恵とたゆまぬ努力によりつくりだしたものです。酒の原料や製造法はさまざまですが、いずれもその地域の気候風土と密接に関係しています。例えば気温の高いサトウキビ栽培の盛んな国では、当然砂糖からつくられる名酒があります。そこで、今回は、その代表ともいえるラム酒と黒糖焼酎にまつわる話を紹介します。
酒は、果実や穀物などを原料につくられますが、原料と製造法の違いにより数えきれないほど多くの種類があります。それらの酒を製造法により分類すると、醸造酒と蒸留酒と混成酒の3つに大別されます。醸造酒は、果実などの場合はそのまま、穀物などの場合は原料を糖化したのち、酵母により発酵し清澄化して酒とします。蒸留酒は、醸造酒を蒸留してアルコール度数を高め、一般に木の樽やタンクなどに貯蔵してつくります。混成酒は、醸造酒や蒸留酒に果実、花、葉、根などを加えてつくります。それら酒類の代表的な酒と原料などを表に示しました。ちなみに、わが国の酒税法では、アルコールを1パーセント以上含む飲料を酒類と定義し、その製造から販売までのすべてにおいて、この法律に従う必要があります。また、酒税法では、すべての酒類を4種類18品目に分類し、それぞれ異なった税金が課せられています。