砂糖類の国内需給
最終更新日:2013年10月10日
砂糖類の国内需給
2013年10月
1.需給見通し
農林水産省は、9月に「平成25砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した。その概要は以下のとおりである。
(1)砂糖の消費量
〜対前年度比2.1パーセント増加の204万5000トンの見通し〜
平成25砂糖年度の砂糖の消費量は、204万5000トンと見通している(表1)。内訳を見ると、分蜜糖は、景気が緩やかに回復し、個人消費も底堅く推移していくとみられることや国際糖価の安定などが見込まれることを踏まえ、対前年度比2パーセント増加の201万トンと見通している。含蜜糖は、近年の消費動向を勘案し、同9.4パーセント増加の3万5000トンと見通している。
(2)砂糖の供給量
〜対前年度比0.5パーセント減少の200万3000トンの見通し〜
平成25砂糖年度の砂糖の供給量は、200万3000トンと見通している。内訳を見ると、国内産糖は、対前年度比1.7パーセント増加の70万3000トン、輸入糖は、同0.5パーセント減少の130万トンと見通している。
国内産分蜜糖の供給見通しを見ると、てん菜は、作付面積が前年産に比べて1.8パーセント減少していることや、オホーツク地域において播種・定植作業の遅れなどにより単収が平年を下回る状況にあることから、産糖量は55万3000トン(対前年産比0.5%減)、供給量は55万2000トン(対前年度1.6%減)と見通している(図1)。サトウキビは、収穫面積が前年産に比べて3.1パーセント減少している。作柄は、今夏の干ばつの影響で茎長の伸びが例年に比べ少ない状況であるが、産糖量は、対前年産比16.4パーセント増加の14万9000トン、供給量は14万2000トン(対前年度比16.4%増)と見通している。
(3)異性化糖の需給見通し
〜対前年度比2.2パーセント減少の80万7000トンの見通し〜
異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、80万7000トン(対前年度比2.2%減)と見通している(表2)。異性化糖の供給量は、消費に見合った量が供給されるものと見通している。
2.輸入動向
【甘しゃ糖・分蜜糖の輸入動向】
財務省「貿易統計」によると、2013年7月の甘しゃ糖・分蜜糖の輸入量は、12万7862トン(前年同月比2.1%減、前月比3.7%減)であった(図2)。国別の輸入量を見ると、タイが5万8323トン(前年同月比44.7%減、前月比50.5%減)と最も多く、次いで豪州5万5599トン(前年同月比122.4%増、前月輸入実績なし)、フィリピンが1万3903トン(前年同月輸入実績なし、前月比6.8%減)、米国が37トン(前年同月輸入実績なし、前月比428.6%増)となった(図3)。同年6月と比較すると、タイからの輸入量が大きく減少した一方で、豪州からの輸入量が大きく増加している。
同月の1トン当たりの輸入価格は、4万4442円(前年同月比4.4%安、前月比1.9%安)であった(図4)。同月の国別1トン当たり輸入価格は、タイが4万5515円(前年同月比0.6%安、前月比0.5%高)、豪州が4万3643円(前年同月比11.9%安、前月輸入実績なし)、フィリピンが4万2813円(前年同月輸入実績なし、前月比5.5%安)、米国が16万3297円(前年同月輸入実績なし、前月比5.4%安)であった。
【甘しゃ糖・含蜜糖の輸入動向】
財務省「貿易統計」によると、2013年7月の甘しゃ糖・含蜜糖の輸入量は、742トン(前年同月比33.9%減、前月比22.8%減)であった(図5)。国別の輸入量を見ると、中国が472トン(前年同月比33.5%減、前月比36.8%減)、タイが237トン(前年同月比35.8%、前月比46.3%増)、フィリピンが13トン(前年同月比116.7%増、前月比75%減)であった(図6)。
同月の1トン当たりの輸入価格は、11万2333円(前年同月比17.5%高、前月比6.1%安)であった(図7)。国別では、中国が11万1413円、タイが10万6000円、フィリピンが19万9923円であった。
【加糖調製品の輸入動向】
財務省「貿易統計」によると、2013年7月の加糖調製品の輸入量は、4万9622トン(前年同月比6.9%増、前月比19.5%増)となった。品目別の輸入量は、ミルク調製品が1万4234トンと最も多く、次いで、ソルビトール調製品が1万421トン、ココア調製品が7,229トンとなった。
3.異性化糖の移出動向
〜2010年に次ぐ高水準〜
8月の異性化糖の移出数量は、8万1757トン(前年同月比8.2%増、前月比15.5%減)となった(図9)。直近5年間の8月の移出数量としては、2010年の8万5259トンに次ぐ水準となった。今夏の猛暑により、清涼飲料などの需要が好調だったことが要因として考えられる。
規格別の移出量は、果糖含有率40パーセント未満のものが373トン(前年同月比1.3%減、前月比6.6%減)、果糖含有率40パーセント以上50パーセント未満のものが1万9611トン(前年同月比1.8%増、前月比18.4%減)、果糖含有率50パーセント以上60パーセント未満のものが5万7297トン(前年同月比10.7%増、前月比14.4%減)、果糖含有率60パーセント以上のものが4,476トン(前年同月比8.7%増、前月比15.6%減)であった(図10)。果糖含有率50パーセント以上60パーセント未満のものは、直近5年間の8月の移出量としては、最も高い水準となった。
4.市場の動き
〜荷動きは伸び悩み〜
8月の精糖出荷量は、今夏の猛暑により、清涼飲料などの需要増加が期待されていたが、業務用大袋、家庭用小袋ともに前年同月実績を下回る結果となった。異性化糖の移出量が2010年に次ぐ高水準であったことを踏まえると、猛暑による砂糖需要の一部が異性化糖にシフトしたことが要因の一つと考えられる。
8月の砂糖の日経相場(東京)上白大袋価格は、精糖各社が前年の7月中旬に建値(出荷価格)をキログラム当たり3円引き下げて以来、今月も同182〜183円の水準で推移した。
8月の異性化糖の大口需要家向け価格(果糖分55%、東京タンクローリーもの)は、145円〜146円の水準で推移した。
株式会社東京商品取引所
◎8月中 粗糖商況
月初1日、新甫9月限は、生産国ブラジルの降霜被害によりNY市場が上昇していることを受け、5,730円上鞘のトンあたり4万5340円で発会した。これは4月1日の4万6380円以来4カ月ぶりの高値となった。その後は、同国通貨のレアル相場が軟調に推移したことや、霜害の影響が不透明なことなどによるNY市場の下落に加え、円相場が円高に推移したことから当社市場も下落し、5日は4万900円まで値を下げた。
中旬は、ブラジル農務省やサトウキビ産業協会(UNICA)が同国の砂糖生産高の減少(前年比)を発表したことや、ブラジルやアルゼンチンの降霜観測など天候リスクが再び高まったことなどにより供給余剰感が緩和され、NY市場は上昇基調に転じた。これを受け、当社市場も14日に4万2820円まで上昇した。
下旬は、ブラジルでの収穫の進展や、サトウキビ圧搾量が記録的な水準になっていること、2013〜14年度の生産見込みが依然高水準であることなどを受け、NY市場は上値が重い展開となった。また、ブラジル通貨レアルの軟化により、製造コストが割安になるという見通しから、砂糖の生産拡大が見込まれることも相場に影響した。こうした流れを受けて当社市場も軟調に推移し、4万1000円台で取引を終了した。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713