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地域だより

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最終更新日:2014年6月6日

徳之島さとうきび生産振興大会の開催

2014年6月

鹿児島事務所 所長 星 英幸

 平成26年5月25日(日)、鹿児島県大島郡伊仙町の義名山総合体育館において、徳之島さとうきび生産振興大会(主催:徳之島さとうきび生産対策本部、南西糖業株式会社、共催:奄美群島糖業振興会、あまみ農業協同組合、南大島農業共済組合、徳之島キビ輸送事業協同組合、以下「生産振興大会」という)が開催された。

  生産振興大会には、徳之島3町の生産農家、糖業関係者、JAおよび行政関係者など約500名が参加した。
 
 徳之島における平成25/26年期のさとうきび・甘しゃ糖の生産実績は、前期の記録的な不作の影響により生産農家の作付け意欲が減退したことなどから、収穫面積は前年から295ヘクタール減少し、3201ヘクタールとなった。また、生産量は、過去最低となった前年産と比較し24%の増収となったものの、生育旺盛期である梅雨明け以降の6月下旬から8月中旬の干ばつや度重なる大型台風の襲来およびメイチュウ類・イノシシによる被害などにより、10アール当たりの収量は4.5トンと、県平均5.4トンを17%下回った。これらの影響により、南西糖業株式会社の原料処理量は、14万2608トンと過去3番目に少ない量となり、産糖量は1万7998トンとなった。このように、前年産を上回る生産量となったことで生産回復の兆しが見えてきているものの、依然として厳しい状況が続いている。

 このような年を終えて、生産振興大会では、徳之島さとうきび生産対策本部長の大久保明伊仙町長が「3期連続の大変厳しく苦しいさとうきび生産を強いられてきたが、他の農作物が壊滅的な打撃を受けるなか、さとうきびの単収は平年の半分以上確保できた。改めてさとうきびの底力を認識した年となった。さとうきび生産を中心とした多角的な農業経営の実践により、もうかる農業に挑戦していこう」と力強く生産者に呼びかけた。
 
 また、来賓のあいさつとして、鹿児島県大島支庁の芝敏晃農林水産部長に次いで、当機構の大泉和夫特産業務部長から「さとうきび生産を取り巻く情勢は厳しい状況にあるが、さとうきび増産基金による生産回復に向けた事業などを大いに活用いただき、関係機関一体となった取り組みにより安定生産体制を早期に確立し、徳之島はもとより鹿児島県南西諸島全体におけるさとうきびの増産と地域経済の一層の活性化につながることを期待したい」との応援メッセージが送られた。

 なお、当事務所では、鹿児島県南西諸島において砂糖産業が成り立つことは砂糖の供給基地として重要であるばかりでなく、領海を含む国土を守ることに大きく貢献していることを解説したパネルなどを会場内に掲示し、砂糖の価格調整制度の周知・浸透に取り組んだ。
 
パネル
 続いて、南西糖業株式会社の田村順一代表取締役社長から今期製糖の経過報告があった。田村社長は、今期製糖報告のキーワードを“全て底打ち”とし、収穫面積、収穫量、単収、糖度および産糖量全ての要素が底を打ち、マイナスの連鎖が断ち切れた状況についてスライドを用いて分かりやすく説明した上で「異常気象が常態化しているなか、農家の皆さまが安定的に所得を確保し、2工場体制を維持するため、関係機関一体となり収穫面積回復、単収向上のための役割貢献、経営効率化の推進を図りたい。異常気象にも耐えられる“徳之島のサトウキビ産業再構築元年”としよう」と、さとうきびの増産に向け、作付け意欲の向上を呼び掛けた。
 
 優秀農家などの表彰に続き、鹿児島県農業開発総合センター徳之島支場の馬門克明主任研究員より「株出し栽培の安定生産に向けて〜機械化体系に対応した栽培法〜」、全国で唯一、選択科目「サトウキビ学」を設置している鹿児島県立徳之島高等学校総合学科生物生産系列の生徒より「甦れ!ウギの島」、南大島農業共済組合の大保和秀農産兼特済係より「さとうきび共済制度について」と題した講演が行われた。
 
 
 最後に、大会スローガンが宣言され、関係者一体となって生産回復に向けて取り組んでいくことを確認し、JAあまみ天城事業本部の上岡重満専務理事のあいさつをもって閉会となった。

【大会スローガン宣言】
発声:仲 洋志郎(天城町農家代表)


  • 夏植の植付で、さとうきびの面積を拡大しよう。
  • さとうきびの増産で経済の活性化を図ろう。
  • 徳之島の生命、さとうきびを守ろう。
  • きび共済加入率50パーセント以上達成をみんなで取り組もう。
  •  島の宝、サトウキビ、あなたの1本から増やしていこう。
 
 徳之島をはじめ鹿児島県南西諸島では3年連続して大変厳しい気象条件下でのさとうきび栽培を強いられたが、これにくじけることなく、引き続き生産農家、糖業関係者および各関係機関のご尽力により、来期こそは天災のない豊作の年となるよう祈念するとともに、当機構としても、生産農家の方々が安心してさとうきびを作ることができるよう、その経営の安定に資するため、今後も交付金の交付業務の適切な運営に努めてまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713