地域だより
最終更新日:2014年6月19日
平成26年度公益社団法人鹿児島県糖業振興協会総会の開催について
2014年6月
平成26年5月29日(木)に鹿児島市内において、平成26年度公益社団法人鹿児島県糖業振興協会の総会が開催された。
同協会は、鹿児島県内におけるさとうきびおよび甘しゃ糖の生産振興、さとうきびの品質取引の円滑な運営ならびに酒造用含みつ糖の生産安定を図ることにより、さとうきび生産農家の経営の向上および甘しゃ糖業の振興に寄与することを目的として、昭和49年に設立された。鹿児島県をはじめ、さとうきび生産が行われている市町村、JA鹿児島県中央会、JA鹿児島県経済連、農業協同組合、製糖会社、酒造関係団体など28会員で構成されている。
今回の総会では、鹿児島県農政部長や日本甘蔗糖工業会会長をはじめ28名が出席(代理出席6名および書面による議決権行使12名を含む)し、平成25年度事業実績の報告や役員の改選などが審議承認された。また、平成26年度の事業計画および収支予算について報告が行われた。
まず、鹿児島県における平成25年産のさとうきび生産実績などについて報告が行われた。
平成25年産の鹿児島県におけるさとうきび生産実績は、過去2年の記録的な不作から回復の兆しがある。収穫面積は、前年産の不作による健全な種苗の不足や他作物との輪作などから、春植えが計画的に行えなかったことも影響し、前年比625ヘクタール減の9372ヘクタールとなった。また、10アール当たりの収量は、熊毛地区で前年比26%増の6992キログラム、奄美地区においては同24%増の4781キログラム、県全体では、同25%増の5421キログラムとなった。このことから、さとうきび生産量は、熊毛地区で前年比23%増の18万9485トン、奄美地区で同15%増の31万8552トン、県全体では同18%増の50万8037トンとなった。しかしながら、 奄美南部地域の特に与論島においては、梅雨明け以降の長期にわたる干ばつおよびその後の台風被害により前年実績を下回る生産量となった。特に与論島では昭和40年以降で過去最低の生産量となった。
分みつ糖工場の産糖量については、前年を17%上回る6万489トンとなったが、与論島や沖永良部島を中心に、前述の生産量減少の影響から、前年比14%減の1716トンにとどまる極めて厳しい年となった。
続いて、同協会が平成25年度において実施した事業について報告が行われた。以下、主な事業について紹介する。
○さとうきび品質取引対策基金事業
糖度に応じた品質取引を円滑に実施していくため、各製糖工場に立会人を設置するとともに、品質の測定方法や原料劣化が品質に及ぼす影響などについて、研修会を与論島で実施した。また、鹿児島県農業開発総合センター徳之島支場に委託して、細裂NIR法による霜害原料の品質評価について基礎調査を実施した。さらに、さとうきび生産改善共励会を実施し、県内の優秀な農家や団体を表彰した。
○さとうきび試験研究事業
さとうきびの新品種の選定や技術開発研究、栽培管理技術の普及を図るため、鹿児島県内のさとうきびおよび糖業の関係者を一堂に集め、鹿児島市内において「さとうきびの低収要因と対策」をテーマにシンポジウムを開催するなど情報の共有を図った。
○さとうきび増産基金事業
国の平成24年度補正予算において造成された基金を活用し、平成23・24年産における不作から早期に増産を図り、さとうきびの安定生産体制を緊急に確立するため、生産者の生産回復に向けた取り組みや製糖会社の施設整備などの支援を行った。生産者への支援としてはメイチュウ防除や堆肥など土づくりなどの取組に助成を実施し、一方、製糖会社に対しては生産性向上などに資する施設整備や機能強化などの取組に助成を実施した。
なお、平成25年度補正予算においても、同基金の継続および積み増しが行われ、平成26年度においても、引き続きさとうきび増産に向けた取り組み、製糖工場の経営体質強化に向けた取り組みを支援するとともに、新たに農業機械リース導入に対する支援が行われる予定である。
次に、平成26年度における事業計画および収支予算について報告が行われた。
鹿児島県の「さとうきび増産計画」に基づき、生産者をはじめ関係機関・団体が一体となって増産対策を推進し、効率的な生産体制の構築に努める計画となっている。近年の農家の高齢化や労働力不足、台風・干ばつ、病害虫の発生により3年連続の不作となるなどの厳しい状況を踏まえ、平成25年度に引き続き、さとうきび増産基金の活用などにより生産の早期回復を目指すなどの基本方針について説明が行われた。
また、平成26年度における新たな取り組みとして、生産改善共励会において島別の表彰を行うこととしたほか、4年ぶりにさとうきび栽培指針を改定する予定である旨の説明があった。さらに、当機構が徳之島において10月に実施する予定の「さとうきび・甘蔗糖関係検討会」への支援を行うことなどが報告された。
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