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地域だより

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最終更新日:2015年1月7日

第77回沖縄県さとうきび育種委員会(秋期)の開催について

那覇事務所 石丸 雄一郎

 平成26年11月27日(木)〜28日(金)に、沖縄蔗作研究協会と沖縄県農業研究センターの共催で第77回沖縄県さとうきび育種委員会(秋期)が宮古島市で開催され、約70名の関係者が室内での成績検討会および現地検討会を行った。

 沖縄県さとうきび育種委員会は、沖縄県内の地域、島々に適するさとうきび品種を選定するため、沖縄県農業研究センターや独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センターをはじめとし、各地域の製糖工場などのさとうきび育種担当者が一堂に会して情報交換を行うものである。毎年、春と秋に開催されており、秋期育種委員会は、早期高糖性など年内操業向けの品種を選定するために設置されている。

1.成績検討会

 1日目の成績検討会では、地域の気象や作柄についての情報交換と、現地適応性検定試験(注)や奨励品種決定試験などについて中間検討が行われた。

 会議に先立ち、まず宮古製糖株式会社の長濱専務が「育種が発展し、素晴らしい品種が農家に提供されるよう有意義な会議になることを期待する」とあいさつを行った。続いて沖縄製糖株式会社の砂川専務は、26年産の同社管内のさとうきび生産見通しについて、「行政による株出し管理機の導入・干ばつ早期対策が円滑に進められ、管内の生産量は15万トンとなる見通しであり、26年ぶりの年内操業を行う」と述べた。

 会議では、はじめに、各試験地・製糖工場における気象概況および生育概況について担当者から説明があり、7月の台風8号をはじめとした各地の台風被害状況、八重山地域における干ばつや少雨傾向による影響が報告された。

 続いて、4次選抜、系統適応性検定試験、生産力検定試験、奨励品種決定試験、現地適応性検定試験(各製糖工場)などについて系統ごとの評価を行った。担当者は各系統について茎数、茎長、茎径、ほ場ブリックス、風折茎率などの調査項目に加え、発芽率や耐病虫害抵抗性などを加味して◎(特に有望)、○(有望)、△(要検討または評価保留)、×(淘汰)の評価を行う。今回は、糖度と可製糖率の高さが評価された「RK06-6009」に特に注目が集まった。この品種は、夏植えでの評価が高く、高糖性を生かし、10〜11月に収穫できる品種になる可能性があるとの意見もみられた。今後の奨励品種候補となる可能性があることから、試験に当たっては、地域適応性や適した栽培技術などについても勘案しながら実施してほしいとの意見が出された。

(注)現地適応性検定試験とは、有望系統について、地域での採用に当たり、利用に向けた生産性・特性を調査するもの。
成績検討会の様子
成績検討会の様子

2.現地検討会

 2日目は、沖縄県農業研究センター宮古島支所、宮古製糖株式会社、沖縄製糖株式会社の各実験農場にて現地検討会が行われた。実験農場では、現地適応性検定試験中のさとうきび系統が作型ごとに配置されており、各試験地・製糖工場の担当者は検討中の系統について宮古島における生育状況などを視察するとともに、それぞれの品種の各地での適応性や生育状況について、積極的に情報交換を行っていた。 

 今後、各地域での気象・土壌に合ったさとうきびの品種が選定され、さとうきびの生産性向上につながるような育種が行われることを期待したい。
 現地検討会の様子
現地検討会の様子
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