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地域だより

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最終更新日:2015年1月14日

平成26年度さとうきび収穫用機械オペレータ養成研修が宮古島で開催された

2015年1月

那覇事務所 井 悠輔

はじめに

 沖縄県では、農家の高齢化や収穫作業の省力化に対応して、ハーベスタによる収穫率が年々上昇している。特に宮古島では、ハーベスタによる収穫率が急激に増加しており、平成26年産のハーベスタ収穫率はハーベスタ収穫の作業委託申し込み段階で約7割に達した。
 
 このような状況を踏まえ、沖縄県農林水産部糖業農産課(以下「糖業農産課」という)は、ハーベスタを初めて所有する農家や、経験年数の浅いオペレータなどを対象とし、さとうきび収穫用機械オペレータ養成研修を実施している。今回は、宮古島で平成26年12月17日(水)および18日(木)の2日間にわたって、基礎研修と実技研修が行われた。研修には、ハーベスタのオペレータ、機械メーカー、行政関係者など約40名が参加した。

1 基礎研修

 1日目は、宮古島市のJAおきなわ宮古地区ホールにおいて、ハーベスタに関する講義が行われた。

 研修会に先立ち、沖縄県農林水産部宮古農林水産振興センター農業改良普及課(以下「宮古農林水産振興センター」という)の平良課長から、「ハーベスタの収穫率が増加している中でオペレータの役割が極めて重要である。今回の研修を生かし、安全な作業に努めてほしい」とのあいさつがあった。

 講義では、はじめに、糖業農産課から、県内におけるハーベスタ事故について過去の事例紹介があった。過去の事例をみると、エンジンをかけたままで点検や清掃を行っている際に事故が発生したり、経験の浅い補助員が事故に巻き込まれるなどの共通点があることから、事故が発生しないためのポイントを繰り返し伝えていた。ポイントは以下のとおり。

  1. 収穫する際は適切な服装で作業する。
  2. 点検・清掃は必ずエンジンを止めてから実施する。
  3. 収穫時は必ず補助員を置き、周囲に人がいないか確認する。
  4. 補助員の経験が浅い場合は指導を徹底する。
  5. オペレータと補助員は事前の調整を徹底し、収穫中も連携を密に取る。また、補助員はハーベスタの死角に入らない。
  6. 火災を起こさないようにするため、収穫後はエンジンルームを常に清掃する。また、収穫時は風向きなども考慮して実施する。
  7. 万が一火災が生じた場合を想定して、自動消化器の設置や火災保険に加入するなどの対策をとる。
  8. ハーベスタの傾斜地での移動や機械の積み降ろしには特に注意する(横転防止)。


 続いて、各農業機械メーカーの担当者から、ハーベスタの運用時の注意点について説明があった。各メーカーとも注意点には共通点が多く、基礎的な使用方法をしっかりと身に付けることの重要性が感じられた。そして、操作に慣れた時ほど事故が発生しやすいことから、繰り返し講習を受けることの重要性も感じられた。

 続いて、糖業農産課から、沖縄県における農業機械化の動向について説明があった。宮古島では、年々ハーベスタによる収穫率が上がっているものの、沖縄県全体としては、鹿児島県に比べハーベスタの導入が遅れていることから、今後、地域協議会を主体とした話し合いを行い、地域のニーズに合わせハーベスタを計画的に導入していく必要があると説明があった。

 最後に、宮古農林水産振興センターから、ハーベスタ収穫後の管理作業について説明があった。宮古島では、近年、ハーベスタ収穫後の株出し栽培が増加してきている。しかし、収穫後の管理作業が十分でないことから、収量が低いことが問題点となっている。講習では、収穫後に何も行わなかったほ場と管理作業を行ったほ場のデータを比較して説明し、管理作業の重要性を伝えていた。また、複合型の株出し管理機による管理を行った後に、サブソイラなどによる心土破砕や中耕ロータリーを使用するなど作業を行うほど収量が上がると説明があった。

 

2 実技研修

 2日目は、宮古島市平良地区のさとうきびほ場において実技研修が行われた。

 この日は沖縄県内で使用されている3つの機械メーカーの小型ハーベスタ(魚谷UT−140K、松元MCH-33、文明HC−130J)について、各メーカー担当者から使用方法や機械の特徴についての説明後、機種ごとに分かれての実技研修が行われた。受講者はメーカー担当者と同乗し、機械の操作方法や注意点について説明を受けながら、1〜2畝の刈り取り実習を行った。一度に各メーカーの機械に乗れる機会は少なく、機械の特徴を把握しようと真剣に取り組む受講者の姿が印象的であった。
 

おわりに

 ハーベスタでの収穫が増加する中で、オペレータの働きが収穫を支えていると言っても過言ではない。少しでも多くの面積を収穫しようという気持ちが、エンジンをかけたままでの点検や清掃といった危険な行動につながっているのかもしれない。しかし、最も大事なことは安全な作業をすることである。今回の研修をとおして、一人でも多くのオペレータがハーベスタ事故の危険性を再認識し、安全第一で収穫作業を行うことによって、今製糖期が事故なく無事に終わることを祈念したい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713