地域だより
最終更新日:2015年6月26日
平成27年産てん菜の生育状況について
−6月16日・17日現在−
2015年6月
当事務所は、平成27年6月16日(火)・17日(水)の両日、(一社)北海道てん菜協会が実施する「てん菜生育状況現地調査」に同行し、平成27年産のてん菜の生育状況について聞き取りを行ったので、以下の通り報告する。
1 生育状況
(1)十勝地域
- 経営所得安定対策の基準糖度の見直しや交付金単価の改訂に加え、前年産の収量、糖度が好成績となったことによる生産者の生産意欲の高まりなどと相まって、今年産の作付面積は、平成26年産の作付面積(2万4961ヘクタール)を上回る見込み。
- 4月下旬から晴天の日が続き日照時間が長く、気温が平年より高めに経過したことから、植え付け作業が順調に進み、移植の最盛期は4月30日〜5月1日ごろで平年より4日程度早く、直播は4月25日〜27日ごろで平年並み〜4日程度早かった。
- 5月に入り、降水量が少ない状況が続き、平均気温が平年より高かったため、干ばつ気味となり、直播栽培では発芽不良、移植栽培では定植後の活着不良がみられ、さらに強風の影響で、葉が枯死するなどの被害が発生した。これらにより、一部の生産者が他作物へ転換する動きが見られ、十勝地域全体で50ヘクタール程度作付面積が減少した。
- 一部地域で干ばつの影響があるものの、生育はおおむね良好である。
(2)オホーツク地域
- 経営所得安定対策の基準糖度の見直しや交付金単価の改訂に加え、前年産の収量、糖度が好成績となったことによる生産者の生産意欲の高まりなどと相まって、今年産の作付面積は、平成26年産の作付面積(2万3753ヘクタール)を上回る見込み。
- 4月下旬から5月上旬にかけ晴天の日が多く、気温が平年より高めに経過したことから、植え付け作業が順調に進み、移植の最盛期は5月3日ごろで平年より7日程度早く、直播は4月28日〜30日ごろで平年より7日程度早かった。
- 5月中旬までは、降水量が少ない状況が続き、平均気温が平年より高かったため、干ばつ気味となり、直播栽培では発芽不良、移植栽培では定植後の活着不良がみられ、さらに強風の影響で、葉が枯死するなどの被害が発生した。これに対し、生産者は補植や再播などで対応した。
- 5月中旬以降は、天気が周期的に変化し、まとまった雨が降った日もあり、生育はおおむね良好である。
2 西部萎黄病対策の実施状況
西部萎黄(いおう)病は、アブラムシ(主にモモアカアブラムシ)によって媒介されるウィルス病で、感染すると、葉が黄化するだけでなく、根重と根中糖分の低下を招くと言われている。前年産は、北海道全域で西部萎黄病の発生が顕著に認められるようになった。
こうしたことを受け、行政、試験研究機関、製糖所(工場)、農業団体が連携し、生産者に対するアブラムシ防除指導の強化を図っている。前年産のてん菜収穫後から春先にかけては、アブラムシを越冬させないため、 1)ビートトップや掘り残しなどのほ場残さのすき込み、 2)野菜栽培や育苗に用いるビニールハウス内の雑草、収穫後の作物残渣の処分徹底、 3)休耕中のビニールハウスのビニールの撤去などの具体的な防除策の徹底を呼びかけた。
今年産のてん菜生産における対策については、各製糖所(工場)において独自の取り組みが行われているので、その一部を紹介する。
(1)黄色水盤(おうしょくすいばん)や粘着シートを利用したアブラムシの発生予察
各製糖所(工場)は、アブラムシが「黄色」に寄ってくる習性を利用して、ほ場の一角に、黄色水盤(水を張った黄色い容器)または黄色の粘着シートを設置し、捕獲したアブラムシの数をカウントするとともに、モモアカアブラムシの発生の有無を確認している。
発生状況を客観的に把握することで、今後の発生を予察し、農薬の使用時期、使用回数の計画、決定などに役立てられる。
(2)モデル的な取り組み
北海道糖業(株)北見製糖所は、JAきたみらいおよび農業改良普及センターと連携し、北見市端野の一地区をモデル地区として、当該地区に畑を保有するすべての生産者(約30戸。てん菜を生産していない生産者を含む。)に対し、アブラムシ防除剤を今年作付けするほぼ全種の作物に1回以上散布するよう指導している。対象となる作物の中には、通常、アブラムシ防除剤の散布を行わない作物も含まれるが、この指導に基づきすべての生産者が実施する予定である。
西部萎黄病の発生リスクを低減するため、アブラムシ防除に関してあらゆる措置を講じる必要があるとの認識が当該地区の生産者の間で共有されているという。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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