地域だより
最終更新日:2015年9月14日
〜沖永良部島〜 第20回さとうきび生産者大会の開催
2015年9月
平成27年7月4日(土)、知名町民体育館において、第20回さとうきび生産者大会(主催:沖永良部さとうきび生産対策本部(以下「生産対策本部」という))が開催された。同大会には、島内の生産者、糖業関係者、JAおよび行政関係者など約550名が参加した。
沖永良部島における平成26/27年期のさとうきびの生産実績については、収穫面積は1386ヘクタール(前年比120%)、生産量は6万7023トン(同137%)となり、10アール当たり収量(以下「単収」という)も4.8トン(同114%)とさとうきびの生産実績4万8784トンを記録した平成25/26年期からは増加したものの、平成26年10月に襲来した2つの台風の影響などにより、当初計画を下回った。
島元嗣沖永良部さとうきび生産対策本部長は、開会に際し、「前年産は干ばつや台風、病害虫の被害などの影響を受け、4期連続の不作となった。関係者一体となって適期植え付け、適期管理を徹底し、単収向上に取り組んでもらいたい。農家の高齢化や担い手対策として基幹作業の受委託を進めていく。これから夏植えが始まるが、安定した収量を得るため計画された夏植え面積を確実に確保できるよう皆さま方のご努力をお願いしたい」と生産者に呼び掛けた。また、平安正盛知名町長は、「価格が安定しているさとうきび経営を農業の柱としていただくことが、沖永良部経済の安定化につながるものと期待している」とあいさつした。
大会では、平成26年産において、高生産量、高品質、高単収であった優良生産者や島内糖業の功労者への表彰式が行われた。併せて、公益社団法人鹿児島県糖業振興協会主催の「平成26年度さとうきび生産改善共励会」において、鹿児島県知事賞を受賞した知名町正名支部に、鹿児島県農政部農産園芸課の久保公従課長から、独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞を受賞した新納澄夫氏に、当機構の飯悟副理事長から表彰状(注)がそれぞれ授与された。
(注)この賞状は、さとうきびと鹿児島県にちなんだもので作製。台紙は、島内の南栄糖業株式会社(製糖工場)から提供いただいたバガス(さとうきび圧搾工程後の残さ)と楮(こうぞ)を材料としたさつま和紙で、縁には大島紬の糸がちりばめられている。額は、鹿児島県産のヒノキを用い、釘やビスは一切使用せず昔ながらの工法により作られている。
また、来賓祝辞として、飯副理事長から「砂糖は国民の食生活に欠くことができない基礎的な食材であり、できる限り我が国内で生産し続けていくことが大事。関係者の皆さまが一体となって取り組むことにより、沖永良部島におけるさとうきびの増産と地域活性化につながることを祈念する」と応援メッセージを送った。また、鹿児島県大島支庁の東洋行農林水産部長は「沖永良部島の限られた土地を有効に使うためには、単収の向上が必要。そのためには、土作り、かん水、防風対策を計画的に実行してほしい。地域に欠かせないさとうきびを皆さまと一緒になって盛り上げていきたい」と激励した。
その後、当機構の真弓正展鹿児島事務所長が「我が国の砂糖をめぐる事情」と題し、国内外における砂糖の需給や生産概況などを報告したほか、砂糖の価格調整制度の仕組みについて解説し、広報誌などを通じて同制度の周知・浸透の取り組みを行っている旨紹介した。
生産対策本部から、平成26/27年期の収穫予定面積が、 1)春植え:166ヘクタール、 2)夏植え:486ヘクタール、 3)株出し:950ヘクタール、合計:1602ヘクタールと見込まれることから、生産目標を8万3728トン(前年比125%)とする生産計画が報告されたのち、TPP交渉に関する特別決議および下記のスローガンが採択された。最後に、出席者全員でのがんばろう三唱、生産対策本部の山下元達副本部長のあいさつで式典は幕を閉じた。
〔大会スローガン〕
- 積極的な畑かん施設の活用により、さとうきびの単収向上を図ろう。
- 緑肥や堆肥による土づくりを実践し、環境と調和した農業を推進しよう。
- 病害虫や雑草の適期防除、適期管理作業等の基本技術を徹底しよう。
- 活発な支部活動を展開し、担い手農家と受託組織を育成しよう。
前年産において収量が6万トン台に回復した沖永良部島のさとうきび生産は、今年産は収穫予定面積が大幅に拡大しているうえ、降雨も十分あり、生産量増加が大いに期待される。
当機構としても、生産者の皆さまが安心してさとうきびを作ることができるよう、今後も交付金交付業務の適切な運営に努めてまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713