砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 地域だより > 地域だより

地域だより

印刷ページ

最終更新日:2015年11月24日

平成27年度第1回さとうきび試験研究委員会の開催について

2015年11月

鹿児島事務所 岸本 真三市

 公益社団法人鹿児島県糖業振興協会は平成27年11月10、11日の2日間、沖永良部島で「平成27年度第1回さとうきび試験研究委員会」を開催した。同委員会は、さとうきび生産振興の重要課題である優良品種の選定や普及について、生産力検定試験(注)の進捗状況や新品種の育成状況などを現地において検討するものである。

 今回は、11名の試験研究委員や各島の生産力検定試験の担当者を中心に約50名の関係者が参集し開催された。

(注)生産力検定試験は、鹿児島県糖業振興協会から6島(種子島、奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)の島別さとうきび生産対策本部などに委託しているさとうきび新系統の品種試験。調査は、原料茎数、原料茎長、原料茎径、原料茎重、甘蔗糖度などの項目について実施され、鹿児島県におけるさとうきびの奨励品種選定や技術普及の基礎資料を得る上で重要な試験の一つとなっている。

1日目:室内検討会

 10日の室内検討会では、各島における生産力検定試験の中間成績や品種・栽培型の動向について報告が行われた。 
 
 

 検討に先立ち、同委員会の林満委員長(鹿児島大学名誉教授)が、「4年続きの不作の後の本委員会の開催となったが、今年産は地域によって差はあるものの回復傾向にあると聞いており期待したい。本委員会を意義あるものにしていきたい」とあいさつした。 

 続いて、各島における配布系統の生産力検定試験の中間成績について、各担当者からの報告が行われた。併せて、各地域における作付け品種および栽培型の動向についても報告があったので、以下に紹介する(品種動向を(品)、栽培型動向を(型)として記載)。

○種子島
 (品)農林8号が約79%と大きな割合を占め、続いて製糖初期の品質向上対策として農林22号の普及を推進しているものの栽培の割合が約16%と前年より2ポイント程度減少した。
 (型)株出しが約71%と大勢を占め、春植えが約28%、夏植えが約1%で、昨年同様の比率。株出しは前年産の低単収の影響などから廃耕が進み、収穫面積は減少傾向。

○奄美大島
 (品)農林22号の割合は減少傾向であるものの約41%を占め、依然として中心品種。農林23号(約22%)が増加傾向(前年比約5ポイント増)。
 (型)コスト低減のため多回株出しの栽培が増加傾向にあることから、株出しの割合が約72%となっている一方で、夏植えの割合は約11%と大幅に減少し、バランスが崩れている。

○喜界島
 (品)農林8号の割合は約34%を占めるが大幅に減少。近年の不作の影響から、昨年に引き続き初期生育および株出し萌芽性の優れた農林23号が増加傾向にある。
 (型)株出し栽培の割合が約64%と増加傾向。夏植えは約24%と大幅に減少した。

○徳之島
 (品)農林8号の割合は約46%に減少したものの依然として中心品種。また、昨年に引き続き農林23号が島内の干ばつ地帯を中心に増加傾向にあり、約34%となっている。
 (型)夏植えが減少したものの、株出しが大幅に増加した結果、収穫面積は増加。

○沖永良部島
 (品)新植、株出しともに収量、品質が安定している農林8号が約46%に増加、農林22号が約40%に微増したが、細茎化・稚茎対策が必要であることからこれ以上の増加は見込めない。
 (型)面積拡大を図ってきた株出しは、平成以降では過去最高の931ヘクタールを見込んでいる。

○与論島
 (品)耐干性、株出し萌芽性に優れている農林23号は減少傾向にあるものの約62%を占めている。農林8号は増加傾向にあり、約14%を占める。
 (型)春植えから株出しへつなげる体系が中心で、株出しの割合が約76%。今年産は前年作付けの新植が株出しとして残存していることから、栽培面積の増となった。
 

2日目:現地検討会

 翌11日、参加者は沖永良部島の南栄糖業株式会社が管理する生産力検定試験ほ場でさとうきびの生育状況などを確認した。

 確認した夏植え、春植え、株出しの3カ所の試験ほ場のいずれも今年産のさとうきびに期待が持てる生育状況であり、参加者は南栄糖業株式会社の担当者からの各系統の生育状況の説明を熱心に聞き入っていた。

 来年2月に開催予定の第2回試験研究委員会では、累年の品種試験成績を踏まえて奨励品種候補の指定などについて検討する予定である。
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713