平成27年度砂糖の出前講座を東京農業大学生物産業学部で開催
最終更新日:2015年12月11日
平成27年度砂糖の出前講座を東京農業大学生物産業学部で開催
2015年12月
当機構では、砂糖の価格調整制度の周知・浸透を図る取り組みとして、砂糖について「より詳しく知りたい」と関心を寄せる大学や消費者団体などに当機構の職員が出向いて講義などを行う「砂糖の出前講座」を実施しており、平成27年11月18日(水)〜19日(木)の2日間、北海道網走市の東京農業大学生物産業学部で開催した。
同講座は、同大学の学習カリキュラムである食品香粧体験学習の一環として行われた。初日の講座では、当機構特産調整部の安藤亨課長から「砂糖の価格調整制度」について、また、外部講師としてお招きした精糖工業会アドバイザー斎藤祥治氏から「原料糖の脱色実験」や「砂糖の知識」を内容とする講義を、香粧学を専攻し高度な知識を習得している129名の学生を対象に行い、その後、加熱による砂糖の物性変化を観察することを目的としたワークショップを75名の学生を対象に実施した。
日本の砂糖を支える仕組み 〜砂糖の価格調整制度について〜
安藤課長から、スライドやパンフレットを使い、 1)てん菜、サトウキビの生産は、地域経済・雇用の確保など重要な位置づけであること、 2)わが国の砂糖は、原料作物の生産条件、工場の立地条件の要因により、主要な輸出国とてん菜で1.9倍、甘しゃ糖で5.4倍と大幅な内外価格差(コスト格差)が生じていること、 3)このため、コミュニティーの維持・発展やコストの是正を行い安定的な砂糖の価格を保つためにも、砂糖の価格調整制度があること、 4)砂糖は国民にとって、重要なエネルギー源であり、欠かせない食料であることなどを学生に対し分かりやすく説明を行った。
将来、食品産業に進む学生を対象に行った出前講座であるが、一般消費者への波及効果を期待したい。
砂糖の正しい知識 〜原料糖の脱色実験および砂糖に関する講義〜
斎藤氏により原料糖を水に溶解した原料糖液を粒状活性炭やイオン交換樹脂を使用して不純物を取り除き、無色透明な砂糖液ができるまでの脱色実験が実演された。
また、「砂糖について 」と題して、着色成分は砂糖とは別ものであることや甘味資源作物の特性、砂糖の化学、体内での糖質の消化と吸収など砂糖全般について幅広い講義が行われた。
べっ甲あめを作る 〜加熱による砂糖の物性を観察する〜
講義の後、ワークショップが開催され、砂糖(グラニュー糖250g)に蒸留水(50ml)を加えた後、攪?しながら加熱すると砂糖がどのように変化し、最終的にべっ甲あめになるか、その物性変化を観察する実験を行った。
さらに、顕微鏡を用いて「フォンダン」(注1)が微細な砂糖の結晶体であることや「べっ甲あめ」(注2)が結晶構造を持たない物質であることを観察した。
(注1) 砂糖を107℃から115℃まで煮詰めると細かく泡立ち、冷めると白くなる。
(注2) 砂糖を165℃まで煮詰めると茶褐色となり香ばしい状態。
同講座を通じて、受講生からは「てん菜が北海道で生産され、わが国の砂糖の生産が、砂糖の価格調整制度によって支えられていることを初めて知った」との価格調整制度に対する理解が図られた意見が出された他、「砂糖についての講義を受けたあと、べっ甲あめを作ることができたため、砂糖に対する一層の知識が広がった」などの感想が寄せられた。
今回の出前講座で紹介した砂糖の価格調整制度や砂糖の知識が、将来、学生たちが食品関連企業に進む上で、広く普及することを期待したい。
最後に今般の出前講座の機会を与えて頂いた東京農業大学生物産業学部の先生方へ感謝の厚意を申し上げたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713