グルテンフリー表示規則が制定された目的は、米国でセリアック病患者が商品におけるグルテン含有に関して正確な情報を得られるようにするためである。これまで、米国内でグルテンフリー表示について定義が存在しなかったため、消費者は成分表を確認したり、場合によっては食品メーカーに問い合わせたりするなど、時間をかけてグルテンの有無を確認しなければならなかった。本規則の施行で「グルテンフリー」という用語の使用について条件が統一され、消費者は食品におけるグルテンの含有について正確な情報を得ることができ、グルテンフリー食品の特定が簡単かつスピーディーになるとしている。
本規則の対象となる食品は、FDAが食品医薬品化粧品法(FDCA)上で定義している「食品」である。そのため、米国農務省(USDA)管轄下の食肉、家きん肉、酒類タバコ税貿易管理局(TTB)管轄下のアルコール度数7%以上のワイン、麦芽飲料、蒸留酒は対象外である。
FDAはグルテンフリー表示の要件について、規則の中で次の通り定義している。
「グルテンフリー」というラベルを表示する食品は、(1)〜(2)のいずれかを満たすものを意味する。
(1) 以下のいずれも含有していないもの。
ア.グルテン含有穀物である原料(スペルト小麦など)
イ.グルテン含有穀物に由来しグルテン除去処理が施されていない原料(小麦粉など)
ウ.グルテン含有穀物に由来しグルテン除去処理が施されている原料で(小麦でんぷんなど)、食品中のグルテンを1キログラム当たり20ミリグラム以上とする原料
(2) 本質的にグルテンを含有しないもの。
なお、原料にグルテンがやむを得ず含有する場合、食品中のグルテンは1キログラム当たり20ミリグラム未満であるものとする。 |
規則文にもある通り、FDAはグルテンフリー表示の基準値を設定するに当たり、グルテンフリー表示がなされている食品に対する基準の一つとして1キログラム当たり20ミリグラム未満を適用した。記載する文言は“gluten free”に加え“no gluten”、“free of gluten”、“without gluten”、なども可能である。ただし、グルテンフリー表示と同時に小麦が原材料リストに記載されている場合や、アレルゲン表示規則に沿って「小麦を含む」との記載がある場合、「小麦」の直後にアステリスクまたは他の記号を付け、すぐ近くに「小麦は本食品がグルテンフリー食品に関する米国食品医薬品局(FDA)の要件を満たすために処理されています」と記載しなければならない。
なお、グルテンフリー表示に当たり、第三者機関による認証は義務付けられていない。また、FDAは特定の第三者機関による認証を推奨することはしないという立場を取っている。