鹿児島県における平成28年産原料用さつまいもの生産状況などについて
最終更新日:2017年10月10日
鹿児島県における平成28年産原料用さつまいもの生産状況などについて
2017年10月
【要約】
鹿児島県における平成28年産さつまいもの生産量は32万2800トン(前年比109%)で、このうち、でん粉原料用さつまいもの生産量は12万8300トンであった(同110%)。
はじめに
鹿児島県におけるさつまいもは、でん粉や焼酎などの原料用や青果用、菓子など加工用向けとして、本県普通畑の約2割で作付けされている。
また、さつまいもは、夏場の土地利用型作物として、輪作体系や防災営農の面からも重要な品目である。
本稿では、平成28年産原料用さつまいもの生産状況やでん粉工場の操業状況、当協議会における取り組みについて報告する。
1.平成28年産さつまいもの生産状況
(1)作付面積
平成28年産さつまいもの作付面積は、1万2000ヘクタール(前年比97%)(
図1)で、全国作付面積3万6000ヘクタールの約3割を占め、全国1位である。
このうち、でん粉原料用は4700ヘクタール(前年同)で、県全体の約4割を占める。
(2)生産量
平成28年産さつまいもは、植え付け後の活着が良く、気温が高く推移し、初期生育が良好であったことなどから、10アール当たり2690キログラム(平年比107%)の収量が得られ(
図2)、生産量は32万2800(前年比109%)トンであった。
このうち、でん粉原料用については、10アール当たりの収量は2730キログラム(平年比110%)(
図2)、生産量は12万8300トン(前年比110%)であった。
(3)用途別仕向け量
鹿児島県におけるさつまいもの用途は、でん粉原料用と焼酎原料用で全体の約9割を占めており、平成28年産では、でん粉原料用が全体の40%の12万8300トン、焼酎用が全体の47%の15万348トンとなっている(
表)。
2.でん粉工場の操業状況
鹿児島県内のさつまいもでん粉工場は、主産地の南薩、大隅、種子島地域を中心に、農協系3工場、民間系13工場、合計16工場が操業している。
平成28年産は、前年より作柄が良く、集荷量も増加したことから、でん粉工場の操業率は上昇したものの、さつまいもの作付面積の減少に歯止めがかからず、依然として操業率の低迷が続いている(
図3)。
でん粉工場の経営安定に向けては、作付面積の維持および単収向上対策など原料の安定確保と併せて、製造コストの削減や食品用途としてのさつまいもでん粉の需要拡大などの取り組みが求められている。
3.生産性向上に向けた取り組み
当協議会では、生産者へのチラシ配布を通して、健苗育成や早期植え付け、病害対策などさつまいも栽培に係る基本技術の励行を啓発、指導するとともに、栽培技術研修会の開催や各種技術情報の提供などを通じて、各地域の単収向上に向けた取り組みを支援している。
さらに、平成29年度においては、高齢化などの労働力不足に対応するため、全作業時間の約4分の1を占める採苗作業の省力化・軽労化に向けた一斉採苗技術の実証を進め、作付面積の確保を図っているところである。
また、実需者と生産者との実効性のある契約取引の実践に資するため、でん粉や焼酎などの用途別原料需要量を把握し、「29年産原料用さつまいもの需要見込(平成29年2月)」を関係機関に通知するなど、県・地域段階における需給・生産に係る情報の共有化にも取り組んでいる。
4.さつまいもでん粉の需要拡大に向けた取り組み
さつまいもでん粉は、鹿児島県でのみ生産されているが、県内を含め、その認知度は低い状況にある。
そこで、さつまいもでん粉の認知度向上と食品用途としての需要拡大を図るため、当協議会では平成28年度から、独立行政法人農畜産業振興機構、県さつまいもでん粉食品用途拡大推進協議会とともに、「さつまいもでん粉応援プロジェクト」を立ち上げ、さつまいもでん粉を活用した料理教室の開催などに取り組んでいる。
特に、さつまいも新品種「こなみずき」のでん粉を利用した食品は、弾力感や喉越し、歯切れの良さを兼ね備え、優れた食感改良効果があることから、家庭料理におけるさまざまな活用方法を消費者に紹介している。
29年度は、鹿児島市内で親子料理教室を開催し、「こなみずき」でん粉を使ったそうめんや唐揚げ、ようかん作りを行い、家庭でのさまざまな活用方法を提案し、需要拡大を図ったところである。
今後とも、関係機関・団体と一体となり、生産性向上に向けた取り組みとさつまいもでん粉の需要拡大を推進していくこととしている。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272