平成26年産にJAこしみず管内で作付けされたでん粉原料用ばれいしょの品種は、コナフブキ(でん粉原料用ばれいしょの作付面積に占める割合が65%)、アーリースターチ(同26%)、コナユキ(同5%)などであった(
図3)。
コナフブキは単収やでん粉価が高いこと、でん粉の白度が高いなどの特性を持つものの、シストセンチュウに対する抵抗性がないことから、ばれいしょ安定生産の面からシストセンチュウ抵抗性を有する品種への転換が課題となっていた。
アーリースターチは、シストセンチュウ抵抗性を持つでん粉原料用品種の中でも、いもの肥大とでん粉価の上昇が早く、早堀り収穫に適しており、輪作の次作物となる秋まき小麦の作付けをスムーズに行えることが利点である。一方、ばれいしょの皮が薄いことから、傷がつくことによって腐敗が発生しやすいという弱点があり、導入当初には積み上げたいもの中にあった傷んだいもから腐敗が広がったこともあったという。このことから、JAこしみずは、アーリースターチに適した肥培管理を試行錯誤の上確立し、傷がつきにくい強いいもを作ると同時に、傷んだいもを収穫前に徹底して取り除くなど、収穫したいもの品質管理に労力をかけている。なお、最終的なでん粉収量は中晩生のコナフブキに比べて少ない。
また、同じく抵抗性品種であるコナユキについては、固有用途(水産練り製品、麺類、春雨、片栗粉など)に適したでん粉特性を持つものの、いもが小粒なため、「くずいも」とよばれる収穫時掘り残しが発生しやすく、翌年の野良いもが増加する問題があった。
これらのことから、でん粉収量が高く、シストセンチュウ抵抗性を持つ優良な新品種が待ち望まれていたところである。