ホーム > でん粉 > 調査報告 > かんしょでん粉の食品用途拡大に向けたJAグループ鹿児島の取り組み
最終更新日:2017年11月10日
コラム 前村千香男氏の「こなみずき」の生産前村氏は、「こなみずき」を作付けする専用の圃場3カ所を有し、計90アールを確保している。「こなみずき」の栽培は、200日以上の栽培期間を設ける必要があるため、5月上旬までの植え付けが望ましいとされている。前村氏の「こなみずき」の植え付けは4月下旬から6月中旬ごろまで行っている(図)。前村氏は、収量を増やすため、土壌分析を行いながら、それぞれの圃場の状態を適宜把握し、圃場に応じて施肥量などを調整している。平成29年産の「こなみずき」の生育は、今のところ順調であるが、収穫期が12月上旬となるため、収穫時期の気温によっては、かんしょの糖化が進むことなどの懸念もあり、まだまだ気を緩めることができないと言う(写真1)。
また、でん粉原料用かんしょの圃場も含めてすべて生分解性マルチフィルムを使用し、収穫時のマルチ剥ぎに係る労力の軽減を図っている(写真2)。前村氏いわく、一緒に汗を流す妻の淳子さんを思ってのことだそうだ。
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また、以前は早期に普及・定着させることを基本としていたため、使用量にかかわらず「こなみずき」でん粉を使用した商品には「こなみずき使用認証マーク」(図8)の使用を認めていたが、今後は一層のブランド力の強化を図るため、新たに設定した基準をクリアした商品にのみ使用を許可することとした(表6)。この認証マークの認知度の向上を図るため、商品数の増加を促進しつつ、販売促進の活動にも取り組んでいく。
29年度は、計8回の事前協議を経て、希少価値のある「こなみずき」でん粉や協議会が商品開発に携わった「こなみずき」でん粉入りのそうめんを使用した親子料理教室を8月20日に開催した(写真4)。
参加者のアンケートの結果では、参加者からのかんしょでん粉の普及効果や市販の商品の購入が期待できることが確認されたほか(図10)、当日のイベントの模様は、複数の新聞にも写真付きで大きく掲載された。
野元主査および長ア氏は、「このプロジェクトを通じて、鹿児島県でかんしょでん粉の認知度が向上するとともに、食品用途の需要拡大につなげていきたい。すでに来年度に向けた検討は始まっており、メンバーがさまざまなアイデアを持ち寄り、新たな取り組みを模索している」と、今後の展開について語った。