一方、難消化性デキストリンはでん粉に微量の酸を添加し、加熱処理をした焙焼デキストリンにα-アミラーゼやグルコアミラーゼといったグルコース間の結合を切断する酵素を作用させ、これらの酵素によってグルコースに分解されなかったデキストリンの部分を精製したものである
4)。難消化性デキストリンは、平均分子量は2000程度のデキストリンで、DEの値は20以下のためマルトデキストリンの仲間であるが、分子構造に特徴がある。でん粉由来のα-1,4とα-1,6結合に加えて、ヒトの消化酵素では分解できないβ-1,2、β-1,3結合やレボグルコサン構造といった特殊な結合および構造が含まれており(
図1)、でん粉や通常のデキストリンに比べると複雑な枝分かれ構造を持っている
2),4)。酸の存在下ででん粉を焙焼することにより、α-1,4およびα-1,6結合していたグルコースが他の水酸基に転移し、さらにはアミロースとアミロペクチンの各でん粉分子が分解後再重合をし、複雑な分岐構造が形成されると考えられている(
図2)
2),4),5)。でん粉や通常のデキストリンは摂取されると、唾液および膵液中のα-1,4結合のみを特異的に加水分解するα−アミラーゼによりマルトース、マルトトリオース、イソマルトース、α-リミットデキストリン、一部はグルコースまで分解されて小腸に入る。その後、小腸粘膜に存在する二糖類分解酵素によりグルコースまで完全に分解されて吸収される。しかし、難消化性デキストリンは製造過程ですでに消化酵素を作用させており、その複雑な構造から消化酵素の作用に耐えて分解されず残った多糖類であるために、小腸内での消化をすり抜けて大腸へと入っていき、食物繊維としての機能性を発揮する。