以上から、高コスト要因を整理した下でコスト低減対策を示した(
表5)。種苗費については、地域的な対応として、品種ごとに地域のばれいしょ播種量を確認し、地域に適した播種量を検討すること▽一般的な二つ切りでの播種を行いやすくするために、種いもの出荷段階で種いもの大きさをそろえること−が挙げられる。
農業薬剤費については、個別的な対応では、特に大規模経営において、効果の長い(ダブルインターバル可能な)薬剤を用いた場合には、14日間隔散布の濃度で散布するとともに、散布間隔を空けることが挙げられる。地域的な対応では、「防除ガイド」に則した防除体系を確認した上で、使用する薬剤の回数やコストなどについて検討をすることが挙げられる。
農機具費については、個別的な対応では、でん粉原料用ばれいしょで一定以上の面積(5ヘクタール以上)を確保することで低減が見込まれる。ただし、作付面積10ヘクタール以上では農機具費は下げ止まることに留意する。
労働費については、個別的な対応では、選別・いも切り作業の見直しによる作業の簡略化・省力化を行うことや、種子予措に係る時間と労働力、コストを踏まえ、カッティングプランターの導入を検討することが挙げられる。地域的な対応では、種苗費と同様に、種いもの出荷段階で種いもの大きさをそろえること、種子消毒を農家集団などで省力的に行うことが挙げられる。
本稿の通り、生産費格差は存在する。しかしながら、特に殺菌剤の利用状況におけるコスト差異について、必ずしも把握されていない実態が見られた。本稿が、コストの現状把握を進め、見直しを行う契機となれば幸いである。