圃場の空撮は、空撮用マルチコプターS900(DJI社、
写真1)にマルチスペクトルカメラ(MicroMCA/RGB+3、Tetracam社〈
写真2〉)を 取り付けて行った。空撮は太陽が高い位置にある午前10時から午後2時までの間に行った。
供試したUAVは基盤が内蔵されたプレート部、ESC(Electronic Speed Controller)
(注1)やモーターが搭載されるアーム部、ジンバル
(注2)やスキッドが搭載される下腹部で構成した。プレートにはコントローラー、3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサー、気圧計などのフライトコントローラーやGPS(A2、DJI社)、受信機(Lightbridge2、DJI社)などが搭載されている。特に、フライトコントローラーは、機体の状態や飛行環境に合わせて各モーターの回転速度を制御しているため、従来の無人ヘリコプター以上の安定した飛行が可能である。UAVの機体寸法は全長、全幅が900ミリメートル、全高が640ミリメートルである。ペイロード(最大積載重量)は8.2キログラムである。
供試したマルチスペクトルカメラは解像度が1280×1024で、視野角は35.7°×28.9°×44.8°となっている。マルチスペクトルカメラは四つのレンズを搭載しており、可視光域のRed、Green、Blue、赤外域の680ナノメートル、720ナノメートル、800ナノメートルの6バンドを捕捉することができる。ジンバルは三つのブラシレスモーターが搭載されており、機体の傾きに応じてカメラの角度を一定に保持する。
空撮は、ばれいしょが萌芽した後の5月29日、開花を開始した6月6日、開花期の6月20日、黄化を開始した7月13日、黄化期の7月20日、7月27日に行った。
UAVの操作は、あらかじめ設置した離着陸地点(人工芝のヘリポート)から離陸させ、圃場中心から上昇させていった。撮影高度は約80メートルである。試験圃場の空撮に要した時間は約5分であった。撮影はカメラに搭載されているタイムラプス(微速度撮影)機能を用い、2秒間隔で画像を取得した。
(注1)モーターの速度を制御する装置。
(注2)カメラを保持する装置。