ア.化工でん粉の用途
化工でん粉の用途を見ると、「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」が24件と最も多く、次いで「和生菓子・洋生菓子」(12件)、「水産練り製品」(9件)の順であった(
図16)。
種類別に見ると、デキストリンは「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」が最も多く、次いで「プリン・ゼリー類」「アイスクリーム類」となっている。一方、加工でん粉では「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」は同じで最も多いが、次いで「水産練り製品」「和生菓子・洋生菓子」の順となっている。
イ.化工でん粉を使用する商品の数
化工でん粉を使用する1企業当たりの商品数は、デキストリンでは「10点以下」が最も多いが、加工でん粉では「11〜50点」が最も多かった(
図17)。101点以上の商品に使用する企業も存在し、いずれも幅広い用途に使用されていることが分かる。
ウ.化工でん粉を使用する理由
化工でん粉を使用する理由は、「品質が安定している」が19件と最も多く、次いで「理由は定かではない」「商品の付加価値を高めるため」がともに12件となっている(
図18)。
種類別に見ると、「品質が安定しているため」「商品の付加価値を高める」「天然でん粉の欠点を補う」「製造原価(製造コスト)を抑える」は加工でん粉が7割以上を占めるのに対して、「商品の特性上、他のでん粉では代替できない」「食感を良くする」「とろみをつける」などはデキストリンのみの回答となっており、デキストリンは天然でん粉の使用理由と同じ理由で使用される傾向が高い。
エ.仕入量の動向
(ア)直近1年間の仕入量
平成29年度の仕入量は、「100トン未満」が22%と最も多く、次いで「100トン以上300トン未満」(10%)、「1100トン以上」(7%)の順であった (
図19)。
種類別に見ると、どちらの種類も「100トン未満」が最も多い。2番目に多いのはデキストリンが「100トン以上300トン未満」で、加工でん粉は「1100トン以上」となっている(
図20)。
(イ)前年度と比較した仕入量の動向
平成28年度と比較した29年度の仕入量の動向は、どちらの種類も「横ばい」が最も多く、特に加工でん粉は7割以上が「横ばい」としている(
図21)。デキストリンでは、前年度は約9割が「横ばい」としていたが、今年度は「増加」と「減少」の割合が一定数見られた。いずれもその要因として「需要の増減」「商品数の増減」を挙げており、天然でん粉と異なり原料供給を要因として挙げる企業は無かった。
(ウ)今後の仕入量の見込み
今後の仕入量の見込みは、どちらも「横ばい」が多かったものの、「大幅に増加」「やや増加」とする企業も2割程見られ、前年度よりも1割程度増加した(
図22)。増加するとした業種は、デキストリンは製菓業が主で、加工でん粉は製菓業の他、麺類製造業や水産錬り製品製造業などであった。
オ.仕入価格の動向
(ア)直近の仕入価格
1キログラム当たりの仕入価格(平成30年3月時点)は、「280円以上」が9%と最も多く、他の価格帯においては、5%未満で分散されている(
図23)。種類別に見ると、デキストリン、加工でん粉ともに価格帯が分散している傾向にあり、これは前年度と同様の傾向である(
図24)。化工でん粉は特性や機能性が異なるさまざまな種類の製品があることから、加工の度合いや付加価値に応じて価格帯が分散するものと推測される。
(イ)前年度と比較した仕入価格
平成28年度と比べた29年度の仕入価格の動向は、いずれの種類も「横ばい」が最も多く、おおむね安定的に推移していると言える(
図25)。種類別に見ると、デキストリンに比べ加工でん粉は「やや上昇」の割合が高い。「やや上昇」の理由とした「原料作物の市場相場の変動によるもの」とした企業は、タイなど製造された加工でん粉を使用しており、29年末から続くタイの加工でん粉の輸出価格の上昇傾向が仕入価格に影響したものと推察される。
カ.化工でん粉に対する評価
5段階評価において、品質面については、どちらも「満足」が最も高くなっており、「やや満足」と合わせるとどちらも過半を超えている(
図26)。
調達面については、加工でん粉が「満足」「やや満足」の割合が前年度より16ポイント低下し、5割を下回った他、「不満」も2%とわずかだが見られた(
図27)。不満とした理由について具体的な回答は得られなかったが、同者はタイからの仕入量が最も多いとしていることから、前述の価格の上昇が関係しているものと推察される。